2017年07月18日

症例検討会BRONCHO13−4

シンプルに、所見だけを申しますと、気管が左に偏位し、左主気管支がはね上がっています。左横隔膜も高位。そして左肺は全体的に高吸収≒濃度上昇域、つまり真っ白になっています。


それではたっぷり胸水がたまったときのように、元あった構造物が全く見えなくなっているのか、というとさにあらず、下行大動脈と横隔膜は見えています。そして、心陰影は見えていない…。


スライド42.JPG


と、いうことで、皆さん!お得意のシルエットサインを使いますと、

  • 心陰影(S5)⇒陽性

  • 横隔膜(S8)⇒陰性

  • 下行大動脈(S6・10)⇒陰性


もう一つおまけに、大動脈弓上部も見えなくなっていますね。これはS1+2に接するので、そこも陽性、と考えますと、下葉には病変はなく、上葉、それも上から下まで病変がある、ということになります。


ちなみに、上葉は上葉といいますが、左の上葉は上から下までありますねん…。横から見たときには前面が上葉、後面が下葉です。


スライド43.JPG


ですから、とある学生さん(Oさん)は、それが印象に残っていたのでしょう、「前葉、後葉」といってたりしました。まあ、あながちまるっきり間違いとも言いがたい、むしろ左はそういった方がわかりやすいかもなー、と思ったものです。


スライド44.JPG


閑話休題、気管が左に偏位、左主気管支がはね上がり、左横隔膜高位、そして左肺全体的に高吸収なので、左の無気肺は間違いない。主気管支が上がっているので、たぶん上葉無気肺ですが、大動脈上部・心陰影がシルエット陽性というところも、左上葉の病変であることを支持します。ということで、まごう事なき左上葉無気肺ですね。


で、身体診察に戻ってみると、左の前面で濁音、呼吸音低下ある一方で、背面で左右差がなかったというのは、上図の通り左前葉ならぬ上葉に限局する病変で、特徴的に見られる所見なのですね。腎細胞癌が気道内転移によって無気肺を起こしやすい、という知識があれば、身体診察の時点で「おそらく左上葉無気肺」と当たりをつけることは難しくありませんでした。

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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO
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