もったいぶらずに診断です。静脈血、気管支洗浄液より検出されたのはNocardia farcinicaでした。
ちなみにコロニーは痰の色と同じ褐色調でした。コロニーの色調は培地の色にも左右され、必ずしも褐色となるものではありませんが、それでも気管支内の痰とコロニーの色が同じ、というのは示唆的です。ともかく静脈血、気管支洗浄液の両方から菌が検出されたことから、ノカルジア(菌血)症と診断し、治療薬を変更しました。
なお、その他血清学的には、C7HRP陰性、クリプトコッカス抗原(−)、カンジダ抗原(−)、QFT(−)でした。
播種性ノカルジア症では脳病変の合併が多く、治療前に調べておきたいところです。こちらも頭部CTを撮影しましたが脳に異常所見は認められませんでした。
以上、病理、培養の結果を確認後、ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)+IPM/CSを開始しました。治療開始後、症状、画像、検査所見いずれも改善し、順調に経過しています。
本症例ではMCDの診断と、治療後に起こった合併症について学ぶことができましたね。
症例検討会BRONCHO
2017年10月12日
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