それ以外に胸水で測定される項目としては、以下のようなものがありますが、感度や特異度の点から、盲信すべきではなく、あくまで参考所見と考えておきましょう。
- ADA:40〜50IU/L以上で結核性胸膜炎を示唆しますが、膿胸やリウマチなど他疾患でも上昇します。
- 腫瘍マーカー:CEA(肺癌)、CA-125(卵巣癌)の上昇が見られることがありますが、カットオフ値などのエビデンスはハッキリしません。
- ヒアルロン酸:悪性胸膜中皮腫で100μg/mL以上とされることが多いですが、もっと低値のことも少なくありません。100μg/mL を超えていれば強く疑う、という感じです。
乳び胸の診断に中性脂肪やコレステロール、膵性胸水の診断にアミラーゼを測定することもありますが、これらは比較的まれであり、病歴や他の症状から疑われるときに測定、ということでいいと思います。
細胞診や培養検査でハッキリした診断に至らない場合には、胸腔鏡下で観察や生検を行います。昨今では内科でも積極的に局所麻酔下で胸腔鏡検査を行って(ウチでもやって)います。
本症例は、胸水検査の結果、リンパ球優位の細胞分画、胸水細胞診でclassX(小細胞癌)、その他画像所見から、進展型肺小細胞癌(cT1bN0M1a stageW)と診断されました。
症例検討会BRONCHO