M.intracellulareとM.avium、一般細菌のP.aeuginosaが喀痰から検出された。どちらが病態のメインと考えるか、治療をどうするか…。
本症例において、例えば病変の何%がMACによるもので、何%がP.aeuginosaによるものか、それを判定する手段はありません。肺MAC症症例の喀痰からP.aeuginosaが検出される、とか、慢性下気道感染症症例の喀痰からNTM(MAC)が検出される、とか、要するに慢性感染≒気道局所の線毛機能、菌排除能力の低下が起こると慢性に複数の菌が付いてしまう、という報告はこれまでにも多くなされています。
Takahiro Tsuji, et al. Nontuberculous mycobacteria in diffuse panbronchiolitis. Respirology, Vol 20, January 2015, 80–86.
ですが、本症例では画像上、粒状影や空洞病変など、肺MAC症の特徴を有していることから、元々肺MAC症のあったところにP.aeuginosaが共感染した、と考えるのが自然でしょう。DPBやSBSの要素は、画像からは少なそうです。
そこで肺MAC症として治療をどうするか、はたまたP.aeuginosaは放っておいていいのか、というところが問題になります。
肺MAC症でも、空洞病変のあるFC型であれば診断後すぐに治療を始めるべき、とされていますので、本症例ではMACに対する治療を始めるべきでしょう。
P.aeuginosaをどうするかは、現在の疾患活動性として、「一般細菌による急性〜慢性下気道感染症」感がどの程度あるか、ということになるでしょうが、少なくとも症状からは急性感染症(つまり緑膿菌による肺炎など)の可能性は低そうです。仮に慢性感染であっても、MACの治療でCAMを使うのであれば無問題と考えていいでしょう。
症例検討会BRONCHO
2017年11月06日
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