2017年12月18日

第90回日本呼吸器学会・第120回日本結核病学会近畿地方会ランチョンセミナー『石綿関連疾患の画像診断』

土曜日の第90回日本呼吸器学会・第120回日本結核病学会近畿地方会、もちろんお勉強もして参りました。表記の『石綿関連疾患の画像診断』、埼玉医科大学国際医療センター画像診断科の酒井文和先生によるご講演でした。


最近では胸膜プラーク(胸膜斑)を見ることがめっきり減ってしまい、なかなか勉強する機会がなかったのですが、ここしばらく数例続けてそういう症例があり、タイムリーに講演を拝聴することで、ちょうど理解を深めることが出来ました。


備忘のため講演メモを残しておきます。


(メモここから)
  • 胸膜プラークは石綿曝露の指標となる

  • 日本においては、胸膜プラークがあれば99%以上の確度で石綿曝露ありと言える

  • 外国のある鉱山では、石綿曝露なしでプラークを認めることがある

  • プラークだけでは症状や障害は出ない

  • プラークを母地として中皮腫が発生するわけではない

  • プラークがなくても中皮腫が発生することがある

  • プラークは通常多発する

  • プラークはCP角をスペアする

  • 認定には単純写真で見えるプラークが必要

  • 石灰化のないプラークでも、肺を押すことから、肋間動静脈や胸骨筋などの正常構造と鑑別出来る

  • プラークは造影されない

  • 良性石綿胸水の器質化でびまん性胸膜肥厚が起こることが多い

  • 「びまん性」胸膜肥厚、とするには両側で1/4以上、片側で1/2以上必要

  • 石綿肺(asbestosis)は、肺実質の線維化病変を表し、他のプラークなどの病変は石綿肺とは言わない

  • 石綿肺はUIPとは異なる、気道中心の線維化で、石綿吸引量に依存する

  • 石綿肺では蜂巣肺は少ない

  • 石綿肺に特徴的な所見として、小葉中心性小結節、curved linear shadow、があり、traction bronchiectasisは少ない

  • Radiology. 1986 Mar;158(3):653-8. Pulmonary asbestosis: CT study of subpleural curvilinear shadow. Yoshimura H, et al.

  • AJR Am J Roentgenol. 2003 Jul;181(1):163-9. High-resolution CT of asbestosis and idiopathic pulmonary fibrosis. Akira M, et al.

  • 石綿吸入歴があってもUIP型の線維化を来すことも多く、その場合、石綿吸入量に依存せず、他の吸入物質も関与しているものと考えられる

  • 都会生活者であれば、ほぼ100%、低用量の石綿を吸入している

  • プラークの範囲で石綿曝露量を推定出来る

  • Am J Ind Med. 2015 Apr;58(4):444-55. Significant relationship between the extent of pleural plaques and pulmonary asbestos body concentration in lung cancer patients with occupational asbestos exposure. Yusa T, et al.

(メモここまで)

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posted by 長尾大志 at 17:27 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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