最近では胸膜プラーク(胸膜斑)を見ることがめっきり減ってしまい、なかなか勉強する機会がなかったのですが、ここしばらく数例続けてそういう症例があり、タイムリーに講演を拝聴することで、ちょうど理解を深めることが出来ました。
備忘のため講演メモを残しておきます。
(メモここから)
- 胸膜プラークは石綿曝露の指標となる
- 日本においては、胸膜プラークがあれば99%以上の確度で石綿曝露ありと言える
- 外国のある鉱山では、石綿曝露なしでプラークを認めることがある
- プラークだけでは症状や障害は出ない
- プラークを母地として中皮腫が発生するわけではない
- プラークがなくても中皮腫が発生することがある
- プラークは通常多発する
- プラークはCP角をスペアする
- 認定には単純写真で見えるプラークが必要
- 石灰化のないプラークでも、肺を押すことから、肋間動静脈や胸骨筋などの正常構造と鑑別出来る
- プラークは造影されない
- 良性石綿胸水の器質化でびまん性胸膜肥厚が起こることが多い
- 「びまん性」胸膜肥厚、とするには両側で1/4以上、片側で1/2以上必要
- 石綿肺(asbestosis)は、肺実質の線維化病変を表し、他のプラークなどの病変は石綿肺とは言わない
- 石綿肺はUIPとは異なる、気道中心の線維化で、石綿吸引量に依存する
- 石綿肺では蜂巣肺は少ない
- 石綿肺に特徴的な所見として、小葉中心性小結節、curved linear shadow、があり、traction bronchiectasisは少ない
- Radiology. 1986 Mar;158(3):653-8. Pulmonary asbestosis: CT study of subpleural curvilinear shadow. Yoshimura H, et al.
- AJR Am J Roentgenol. 2003 Jul;181(1):163-9. High-resolution CT of asbestosis and idiopathic pulmonary fibrosis. Akira M, et al.
- 石綿吸入歴があってもUIP型の線維化を来すことも多く、その場合、石綿吸入量に依存せず、他の吸入物質も関与しているものと考えられる
- 都会生活者であれば、ほぼ100%、低用量の石綿を吸入している
- プラークの範囲で石綿曝露量を推定出来る
- Am J Ind Med. 2015 Apr;58(4):444-55. Significant relationship between the extent of pleural plaques and pulmonary asbestos body concentration in lung cancer patients with occupational asbestos exposure. Yusa T, et al.
(メモここまで)