で、市中肺炎と診断しましたら、まず治療の場と治療薬を決定するために重症度を評価する必要があります。治療の場というのは入院で治療する(予後が悪そう)のか、外来でいけるのか(予後が悪くなさそう)の判断ですが、その目安として予後予測因子の何項目に当てはまるのかスコア付けをしよう、というのが以前の(2005)市中肺炎ガイドラインから日本で用いられているA-DROPです。
A-DROP表
この5項目のうち1項目も満たさないものを軽症、1つまたは2つを満たすものを中等症、3つを満たすものを重症、4つ以上満たすと超重症と分類します。ただしショックがあれば1項目だけであっても超重症に含めます。
軽症であれば外来治療可能、中等症は外来もしくは入院で、つまり入院となるかどうかは主人の裁量次第ということになります。A-DROPで大事なポイントとしては、軽症肺炎をきちんと外来で診療しましょう、ということです。
重症以上では入院の適応で、超重症となるとICU、またはこれに準ずる病室に入室、とされていますが、初診時A-DROPでさほどでなくても後に重症化する、つまり当初から集中治療を要する敗血症症例のスクリーニングが問題とされていました。
そこで今回のガイドラインでは、A-DROPに加えて新たに敗血症の有無を判断するために用いられるqSOFA(クイックソファー:quick Sequential Organ Failure Assessment)スコアを用いて重症度を評価することになりました。
qSOFA表
qSOFA2点以上であれば、敗血症の疑い、となり、臓器障害の評価を行ってSOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアをつけます。
SOFA表
これがベースラインから2点以上増加していれば敗血症と診断されます。
A-DROPは5項目、qSOFAは3項目で評価しますが、A-DROPだと血圧が90mmHg以下で1点なのにqSOFAだと収縮期血圧100mmHg以下で1点、と微妙に違うところが覚えにくいですね。まあこれは異なるロジックで作られたシステムなので仕方がありません。丸暗記しなくても、いつでも参照できるようになっていればOKです。
肺炎ガイドライン解説
2018年07月02日
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