2018年07月05日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説6・市中肺炎5・細菌性肺炎と非定型肺炎/マイコプラズマ

とか何とかいいましたが、エンピリック治療すら無視して、肺炎には何でも広域抗菌薬、という現場が今でもあるようですので、まずはガイドラインの意図を尊重して、「最低限このくらいは」というエンピリック治療についてご紹介します。


まずは「細菌性肺炎と非定型肺炎」の鑑別を行います。

非定型肺炎。定型的な細菌性肺炎とは症状や所見が異なり、使うべき抗菌薬の種類が全く異なるために鑑別が必要となる疾患群であります。マイコプラズマ、クラミジア、オウム病、レジオネラ、Q熱などが非定型肺炎に含まれますが、このうち頻度が多いマイコプラズマとクラミジアの特徴を取り上げて、

  • 若年者(<60歳)

  • 基礎疾患なし、あっても軽微

  • 痰が少ない

  • ラ音が聴かれない

  • 空咳が多い

  • 採血で白血球が増えない(<1万)


のうち何項目を満たすか、4項目以上であれば非定型肺炎を疑います。まあクラミジアも当初言われていたほど多くはないと最近言われていますので、実質的にこの特徴はほぼマイコプラズマのことを指すと考えて良いと思います。

マイコプラズマは気管支粘膜上皮細胞の線毛にくっつき、感染します。線毛が元気な方がくっつきやすい=感染しやすい。また、感染が成立するには、それなりに長い時間同じ空間にいる必要がある、ということから、保育園、幼稚園、学校に行っている、若くて元気なヒトが罹りやすい,ということになります。

気管支上皮の炎症から気道過敏性が亢進し、めっちゃ咳が出ますが、痰は目立たず、気道に痰がないのでラ音も聴かれません。臨床的にしばしば咳喘息との鑑別が問題になります。

マイコプラズマは大変小さな微生物で、一般細菌のように自分で細胞壁(自己の構造)を作成して増えていくものではありません。自立してないわけです。(ヒトの)細胞内に感染(寄生)して、細胞の仕組みを利用して菌体を作成し増殖するという、すねかじり生活。ちなみにそのために培地での培養も難しいものです。

そのようなしくみで増える菌であり、細胞壁を持たないので通常よく使われるβラクタム(細胞壁の合成阻害薬)は原理的にも全く効果がありません。マイコプラズマに「効く」のは、マクロライド系やキノロン系といった DNA 合成阻害薬になります。

では市中肺炎全てに対してマクロライドやキノロンを使えば良いのではないかと思われるかもしれませんがことはそれほど単純ではありませんというのもマクロライド系薬はあまりにも小児(だけでもありませんが)に対して濫用され、一般的な市中肺炎を起こす細菌(肺炎球菌やH.influenzae)には効かなくなってしまっているからです。

肺炎ガイドライン解説

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posted by 長尾大志 at 18:57 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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