2018年07月06日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説7・市中肺炎6・細菌性肺炎と非定型肺炎・外来治療

ですから細菌性肺炎を疑う場合には、肺炎球菌やH.influenzaeに効果のあるβラクタム系(ペニシリン系、セフェム系)抗菌薬を投与します。


細菌性肺炎と非定型肺炎が鑑別できたら、治療の場(外来、一般病棟、集中治療室)別に治療を考えましょう。


■ 外来治療

非定型肺炎(≒マイコプラズマ肺炎)は軽症例が多いため、基本的には外来治療症例が多くなります。非定型肺炎の治療には上にも書きましたがβラクタム系は使いません。

細菌性肺炎を疑う場合にはβラクタム系を使います。非定型か細菌性か、鑑別が難しい場合(鑑別ポイントを3項目しか満たさないような場合)は非定型病原体をカバーするような抗菌薬を選択します。

となると、1剤で非定型も細菌もカバーする、レスピラトリーキノロンが最適である、とガイドラインではなっておりますけれども、何度もブログで書いているようにキノロンは結核にちょっと効いてしまい、そのため結核の診断が遅れてしまうというデメリットがあります。

それにいろんな細菌がキノロン系に耐性がついてしまうと大変具合が悪いですから、ここではなるべくキノロンを使わずに肺炎を治療することを考えましょう。

まずガイドラインで挙げられている、外来患者群の内服治療を行う群です。

  • ベータラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬
    (スルタミシリン、アモキシシリン・クラブラン酸)

  • マクロライド系薬
    これは非定型肺炎が疑われる場合の選択です(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)

  • レスピラトリーキノロン
    (ガレノキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン、シタフロキサシン、トスフロキサシン(これはキノロンですが抗結核菌作用がないのが特徴です))


市中の細菌性肺炎、想定される原因菌として肺炎球菌、H.influenzae(インフルエンザ桿菌)が挙げられます。そのためペニシリン系の経口薬を第一選択としたいところですが、H.influenzaeはβラクタマーゼを産生するものもあり、βラクタマーゼ阻害薬を加えるのが無難だという考え方です。

それはいいのですが、アモキシシリン・クラブラン酸はアモキシシリンが250mg、クラブラン酸が125mgという割合で配合されていて、アモキシシリンをたくさん使おうとするとクラブラン酸もたくさん摂取されてしまって下痢を起こしやすい、といわれています。

そこでこの配合剤(オーグメンチン250レジスタードマーク3錠分3)にアモキシシリン単独製剤(サワシリン250レジスタードマーク3錠(カプセル)分3)を併用すれば、アモキシシリン250+250=500mgにクラブラン酸が125mgという配合で使うことができます。この、ちょっと気の利いた?取り合わせを、商品名の頭文字を足してオグサワという風に呼んでいます。

肺炎ガイドライン解説

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posted by 長尾大志 at 19:19 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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