2018年07月17日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説11・市中肺炎10・集中治療室入室治療

集中治療室で全身管理が必要となるような、重症肺炎の代表的な原因菌は肺炎球菌とレジオネラです。ですが、エンピリックにいきます、というときにはその2つにターゲットを絞るのは危険でしょう。

重症、すなわち治療失敗が死を意味する、そういう場面においては、頻度はいささか低くても、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌をもターゲットに含めた、広域抗菌薬を使うというのもやむを得ないところです。

ただし抗菌薬を使用する前に、必ずあらゆる培養をとる(喀痰、血液、尿など)。そうして得られた菌を確認してde-escalationをできるように準備する、ということが大事です。

エンピリック治療として挙げられるのが以下の5つの薬剤(の組み合わせ)です。いずれも注射薬になります。

  • A法|カルバペネム系薬(メロペネム、ドリペネム、ビアペネム、イミペネム・シラスタチン)またはβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(タゾバクタム・ピペラシリン)このいずれかの単剤療法

  • B法|第三世代セフェム系薬(セフトリアキソン、セフォタキシム)またはβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルバクタム・アンピシリン)の単剤療法(緑膿菌を考慮しない場合)

  • C法|A法またはB法とマクロライド系薬(アジスロマイシン)の併用療法

  • D法|A法またはB法とレスピラトリーキノロン系薬(レボフロキサシン)併用療法

  • E法|A法またはB法またはC法またはD法と抗MRSA薬(リネゾリド、バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン)の併用療法(MRSA 肺炎のリスクが高いと考えられる場合)


肺炎ガイドライン解説

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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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