2018年07月20日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説14・市中肺炎13・治療終了時期・退院時期

ケンカや戦争を始めるときには、落としどころを決めておく、終わりを決めておかないとずるずると泥沼にハマりますね。それと同じ?で、感染症治療を開始する際にはいつまで続けるか、治療開始時に決めておくのが理想です。

というのも、抗菌薬をダラダラ使う=耐性菌を増やす、ということになるからです。抗菌薬使用期間が延びるほど、体内でその抗菌薬が効かない菌が生き残り、効く菌が死に絶えていきます。菌の世界もパワーバランスがあり、一度バランスが変わるとなかなか元に戻らず、腸内細菌叢などの菌が「効かない菌=耐性菌」に入れ替わっていくのです。従って、抗菌薬は、できる限り大量に、短く使う、これが耐性対策の基本です。

以前にも書きましたが、最初に使う抗菌薬がその感染症に「効けば」、もうその感染症は制圧したと見做せる、すなわち、早期に「効果あり」と判定すれば、大体同じようなシチュエーション(重症度、菌種)で同じような日数(治療期間)で収束させることができる、と考えます。


市中肺炎治療期間の目安(初期治療が奏功している場合)

  • 肺炎球菌:菌血症がなければ解熱後3〜5日間(最低5日間)
    菌血症を併発していれば10〜14日間

  • ブドウ球菌や嫌気性菌による壊死性肺炎:14日間以上

  • レジオネラ・ニューモフィラ:7〜14日間

  • 緑膿菌:10〜14日間

  • その他の市中肺炎:最低5日間かつ2〜3日間平熱が続くことを確認して治療終了

  • 肺化膿症、胸膜炎、膿胸を併発している場合、基礎疾患による難治化を認める場合には上記より長期間投与するべき、とされています


最終的に抗菌薬投与を終了する判断は、(スイッチ療法の導入基準と同じ)臨床的な軽快状態を満たし、さらに
  • 白血球正常化

  • CRP が最高値の30%以下

  • 胸部 X 線の明らかな改善

などから総合的に判断する、とされていますが、胸部陰影の改善には時間を要する症例がありますし、 CRP に関しても感染症以外の原因で軽快しない症例があるので、あまりこれを厳密に守ると、ダラダラと抗菌薬を続けることになってしまいます。

個人的には、普通の免疫力がある普通の肺炎で、早期に「効果あり」であれば、当初の設定期間でビシッと止めていいと思います。

退院の時期については、ガイドラインでは「理想的には」抗菌薬終了後の観察期間を4〜10日間程度設けて再発がないことを確認後退院、と書かれていますが、現実的にそうやってベッドを占有することはかなわないでしょう。通常は点滴抗菌薬が終了したら退院、ということになるでしょうね。

肺炎ガイドライン解説

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posted by 長尾大志 at 18:53 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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