もしそのいずれか、またはいずれもに当てはまる場合、患者さん本人やご家族とよくよく相談した上で、ご本人の意思やQOLを尊重した、患者さん中心の治療、ケアを行います。治療開始した後でも、継続的に患者さん本人やご家族の意思を確認し、状況に応じて治療方針を変更できることを説明しその機会を保証する、とされています。
治療撤退の流れを明文化した、というところですね。
そういう状況ではない、あるいは終末期だけれどもご本人が通常の治療を望まれる場合やご本人の意思が確認出来ない場合(あくまで「ご本人の」意思が重要です)、通常の治療に進みます。
通常の治療にあたっては市中肺炎同様、最初に敗血症の有無と重症度を確認します。敗血症疑いの有無はqSOFAで判定します。それから重症度、これも市中肺炎と同様、医療・介護関連肺炎でもA-DROPですが、院内肺炎ではI-ROADになります。
I-ROAD
- I:immunodeficiency(悪性腫瘍、または免疫不全状態)
- R:Respiration(呼吸)SpO2>90%を維持するためにFiO2>35%を要する。
- O:Orientation(意識障害)
- A:Age(年齢)
- D:Dehydration(脱水または乏尿)
A-DROPとI-ROADは、ほとんど同じ項目なのに「全く違います」みたいな顔をしているところが、ちょっと個人的には気に食わないところです。そもそもA-DROPは入院させるかどうかを決めるのにも使うわけですが、院内肺炎の場合入院させるもクソもない(元々入院してる)わけですから、A-DROPを使わなくていいよね、元々の免疫状態で予後を占いましょうね、と理解しておきましょう。
医療・介護関連肺炎の場合はA-DROPで(市中肺炎同様に)入院適応、治療の場を決め、さらに耐性菌リスクを勘案して治療薬を決めます。
院内肺炎ではI-ROADに加えて肺炎重症度規定因子として
- CRP≧20mg/dL
- 胸部X線写真で陰影の広がりが一側肺の2/3以上
の項目を使い、重症度判定を行います。
肺炎ガイドライン解説