2018年07月30日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説20・院内肺炎/医療・介護関連肺炎4・エンピリック治療

院内肺炎/医療・介護関連肺炎でも喀痰グラム染色の重要性は変わりません、イヤむしろ市中肺炎よりも重要かもしれませんが、だがしかし、そういう、ADL低下が見られたり、誤嚥があったりする症例ほど、痰の喀出が出来ない、脱水で痰がない、侵襲的検査が難しい、などの理由で、エンピリック治療の出番が多くなってくる現実があります。しっかりとエンピリック治療の考え方を学びましょう。

■ 重症度が高くないと判断され、かつ、耐性菌リスクが低い場合

医療・介護関連肺炎の場合、敗血症がなくて、A-DROPが2項目以下(重症度が高くない)で、さらに耐性菌リスク因子が1項目以下の症例。

院内肺炎の場合、敗血症がなくて、I-ROADで2項目以下かつ肺炎重症度規定因子に該当せず軽症群と考えられ、さらに耐性菌リスク因子が1項目以下の症例が当てはまります。

こういう症例群では、まず狭域スペクトラムの抗菌薬を投与し、無効な場合広域に変更するescalation治療による初期治療が推奨されます。

主な標的は市中肺炎と似ていて、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、口腔内の連鎖球菌、クレブシエラ、モラクセラなどです。

これらの菌に対するエンピリック治療として推奨されるのは、ペニシリン系薬ではスルバクタム・アンピシリン、セフェム系では第三世代のセフトリアキソン、またはセフォタキシムです。

市中肺炎とは異なり、あまり非定型肺炎(特にマイコプラズマ肺炎)が単独で起こるとは想定されていませんが、非定型肺炎の可能性が考えられる、あるいはβラクタム系薬へのアレルギー歴を有する場合には、キノロン系のレボフロキサシンがガイドラインでは推奨されます。

医療・介護関連肺炎で、外来治療が可能な場合、内服薬で細菌性と非定型肺炎の両者をカバーできるような、βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(アモキシシリン・クラブラン酸またはスルタミシリン)もしくはセフトリアキソンに、マクロライド系薬(クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン)を併用する、もしくは単剤でレスピラトリーキノロン(ガレノキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン、シタフロキサシン、トスフロキサシン)を選択します。

外来で注射薬治療を行う場合は、1日1回投与が可能なセフトリアキソンやレボフロキサシンを選択します。

なお、レボフロキサシンは嫌気性菌への抗菌活性が不十分なので、誤嚥性肺炎や肺膿瘍・肺化膿症といった嫌気性菌感染の可能性が高いと考えられる症例では、クリンダマイシンやメトロニダゾールの併用を検討する、とされておりますが…。

個人的には、エンピリックの現場では非定型病原体をそれほど重要視する必要はないと思っていて、非定型肺炎を疑うような症候が少なければ、マクロライドの併用やキノロンは不要ではないかと思っております。

肺炎ガイドライン解説

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posted by 長尾大志 at 16:13 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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