リスク因子として
- 長期間の人工呼吸管理
- 再挿管
- 発症前の抗菌薬投与
- 原疾患|熱傷・外傷・中枢神経疾患・呼吸器疾患・心疾患
- 誤嚥
- 筋弛緩剤の使用
- 低い気管チューブカフ内圧
- 移送
- 仰臥位
などが挙げられています。
VAPは挿管患者全体の9%から27%に発生するとされています。発症の機序として、
- 胃の内容物が逆流する
- 口腔内や気管チューブに病原微生物が定着(コロニゼーション)
- 声門下の分泌物を誤嚥
- 誤嚥したものが気管チューブのカフの外側を通って気管内に入る
- 咳反射や繊毛上皮機能の低下
などが考えられています。
VAPの診断はしばしば困難です。そもそも人工呼吸をする要因となった原疾患や肺病変、あるいは無気肺や胸水など、人工呼吸中に併発しやすい病変との鑑別が困難だからです。
臨床的にVAPが疑われた場合、発熱 CRP プロカルシトニンなどの全身性炎症反応の上昇、酸素化の低下、画像上異常陰影の出現、膿性の気道分泌物などを確認します。挿管下ですから、下気道の直接吸引や気管支洗浄などによる生物学的アプローチは比較的容易ですからこれは欠かせませんし、血液培養や胸水など、アプローチできるところからの培養も積極的に行います。
VAPも院内肺炎ですから、検出菌としては緑膿菌が最も多いとする研究が多いです。それ以外にはエンテロバクター属やステノトロフォモナス属などのグラム陰性桿菌群の割合が高くなります。それから MRSA が検出されることも多いですが、例によって定着との鑑別が重要になります。抗菌薬選択の原則は、院内肺炎と同様です
肺炎ガイドライン解説