2018年08月09日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説25・グラム染色で菌が検出されたときの抗菌薬1

ここまで市中肺炎のエンピリック治療における、抗菌薬の選択について述べてきました。あと少し、原因菌が判明した時の抗菌薬選択についても述べたいと思います。

喀痰グラム染色で、グラム陽性双球菌(たぶん肺炎球菌)が見えた、それ以外にH.influenzaeでも何でもいいのですが、グラム染色標本に精通された医師や検査技師さんが「たぶんこれだろう」という菌が見えた、これでも原因菌の推定が可能です。

また、尿中抗原検査(肺炎球菌、レジオネラ)や鼻咽頭拭い検体抗原検査(マイコプラズマやインフルエンザ)などの検査でも原因菌を推定することはできます。

重症度が高くない(狭域でよさそうな)場合であれば、原因菌ごとに、以下に述べるような標的治療を開始します。

ただ最終的に原因菌を判断するのは、グラム染色ではなくて培養検査で行います。喀痰培養や血液検査で検出された菌(コンタミでない菌)を原因菌とし、初期治療のままでよいか検討、治療の調整を行うのです。


グラム染色なしでエンピリック治療を始めてしまった場合は、少し広域な抗菌薬を使っていることが多いので、喀痰培養や血液検査の結果原因菌が判明したら、標的治療という形でde-escalation、つまり、より狭域の抗菌薬に変更します。


■ 肺炎球菌が検出された時

・外来治療の場合(経口薬)
  • 第1選択薬|アモキシシリンの高用量

  • 第2選択薬|レスピラトリーキノロン←個人的にはお勧めしません


・入院治療の場合(注射薬)
  • 第1選択薬|ペニシリンG、アンピシリン

  • 第2選択薬|セフトリアキソン

  • 第3選択薬|第4世代セフェム系薬

  • 第4選択薬|カルバペネム系薬


第2選択薬以降はかなりの広域抗菌薬であり、これらを使うのであれば一体なんのために喀痰培養や血液培養をしたのやら分かりません。特に第3選択薬・第4選択薬は抗緑膿菌作用があるわけで、ただの広域抗菌薬治療です。de-escalationになりませんから、肺炎球菌肺炎だ、と診断されたのであれば、自信を持ってペニシリン(ただし目一杯の量)を使いましょう。

肺炎ガイドライン解説

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posted by 長尾大志 at 18:36 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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