プラチナ製剤併用療法でプラチナと組む相手は何がいいか、扁平上皮癌ではペメトレキセドやベバシズマブは使えませんので、シスプラチン+(ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビン、S-1)、ネダプラチン+ドセタキセル、カルボプラチン+(パクリタキセル、S-1)、が各種比較試験で同等の効果、とされています。
非扁平上皮癌の場合、まず遺伝子検査を行い、EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座、ROS1遺伝子転座、BRAF遺伝子変異の有無を調べます。遺伝子異常があれば各々に対する阻害薬を使います。これはシンプルですね。
・EGFR遺伝子変異⇒EGFR-TKI
・ALK遺伝子転座⇒ALK-TKI
・ROS1遺伝子転座⇒クリゾチニブ(ALK-TKI)
・BRAF遺伝子変異⇒ダブラフェニブ(BRAF阻害剤)+トラメチニブ(MEK阻害剤)
このような遺伝子異常がない場合、残念ながらTKIは使っても御利益がありません。そこで次善の策として免疫チェックポイント阻害薬の可能性を探ることになります。すなわちPD-L1染色を行い、PD-L1陽性腫瘍細胞≧50%の場合、ペムブロリズマブを選択します。
遺伝子異常がなく、かつ、PD-L1が50%未満、もしくは不明の場合、細胞障害性抗癌剤を使います。
その際の選び方は扁平上皮癌同様、年齢(75歳で区切る)、PS(0-1か2か3以上か)で決めるところプラス、非扁平上皮癌ではペメトレキセドやベバシズマブが使えます。
ペメトレキセドは葉酸+ビタミンB12製剤と併用することで副作用が軽減され、比較的強い副作用が少ないこと、比較的効果が長続きするケースが見られることなどから、1次治療のプラチナ製剤併用療法を4サイクル施行後もペメトレキセドのみ使い続ける、維持療法(maintenance therapy)を行うことが推奨されています。私の経験でも、結構長く使えた症例がありました。
ベバシズマブは75歳未満、PS0-1の症例で、プラチナ製剤併用療法(カルボプラチン+パクリタキセル、カルボプラチン+ペメトレキセド)に加えての使用となります。
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体で、VEGFの働きを阻害し血管新生を抑えますので、出血が止まらなくなる、血栓、高血圧、蛋白尿などの副作用があります。従って、特に出血しそうな/している症例では禁忌となります。
…なんか台風がアレみたいですので、今日はこれにて失礼します。
呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践
2018年08月23日
肺癌診療ガイドライン2017年版解説4・非小細胞肺癌治療の流れ2・W期扁平上皮癌・非扁平上皮癌の場合
posted by 長尾大志 at 19:22
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