2018年11月21日

潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection : LTBI)治療

結核菌に感染していて、今後発病の恐れがある人に、抗結核薬を投与してその発病を防ぐために行われる治療のことです。

以前は「予防内服」とよばれていたものが2007年に結核予防法が廃止され、改正感染症法によって結核対策が行われるようになったときに「潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection : LTBI)の治療」と変わりました。かつては発病を防ぐという意味で「予防」となっていたものが、今では感染している菌を殺す治療、という意味で「治療」といわれています。まあ本質的には同じことですね。

予防内服時代には、対象は29歳以下の若者に限られていました。というのも、かつての高齢者はほとんどの方が、もともと結核菌に感染していたということがあります。接触したからといってことさらに予防内服をしなくても、どうせ持ってるじゃん…ということでした。

それと、抗結核薬の副作用、特に肝障害が高齢者では頻度が高い、ということもありました。発病者の治療では副作用がある程度許容されるとしても、発病していない人に対する投薬で肝障害が起こるのはいかがなものか、という問題があったのです。

しかし、現在、潜在性結核感染症治療に年齢制限はありません。今やある程度の年齢でも、もともと結核菌を持っていない人の方が多くなっています。新たに感染したときに将来の発病を予防するということには意味がありますから、年齢制限はなくなったのです。

潜在性結核感染症治療の対象となるのは、今後発症のリスクが高い人です。

まず何といっても2年以内に結核感染を起こした人、つまり、明らかな曝露があって、その後IGRA陽性となった人です。

それ以外には、IGRA陽性(感染している)で、
・HIV/AIDS
・臓器移植
・珪肺
・慢性腎不全による血液透析
・胸部X線画像で陳旧性結核があり未治療の場合
・生物学的製剤の使用など
があれば積極的に治療を考慮します。また、
・経口及び吸入副腎皮質ステロイド剤の使用
・その他の免疫抑制剤の使用
・糖尿病
・低体重
・喫煙
・胃切除
等の発病リスクが複数重複した場合、LTBI治療の検討が必要とされています。

潜在性結核感染症治療指針(Kekkaku Vol. 88, No. 5 : 497_512, 2013)より引用

長い長い結核の話

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posted by 長尾大志 at 19:09 | Comment(0) | 長い長い結核の話
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