2019年02月28日

第29回月輪呼吸器疾患研究会・アスベスト疾患をみるためのエッセンス見聞録

昨日は第29回月輪呼吸器疾患研究会でした。この会は29回目という由緒正しき会なのですが、スポンサーの某社さんの意向によりまして、今回で最後ということになりました…。

本当に長い間支えていただき、感謝しております。この会は、主に滋賀医大の放射線科・呼吸器外科の先生を中心に始まったもので、呼吸器疾患に関する、大変学びになることの多い会であったので、個人的には大変残念ですが、これも時代の流れということなのかもしれません。

で、昨日最後にふさわしい豪華スピーカーとしてご登壇いただいたのは、天理よろづ相談所病院 放射線部の西本優子先生、そして独立行政法人労働者健康安全機構アスベスト疾患研究研修センター センター長の岸本卓巳先生のお二人でした。

西本先生からは真菌症の画像ということで、豊富な症例を見せていただきました。

岸本先生には、アスベスト疾患をみるためのエッセンスということで、なかなか普段私たちが勉強する機会のない、石綿曝露で生じる肺がん、それから中皮腫の診療のために必要な、といいますか、労災や救済法の認定基準という大変実践的な内容を教えていただきました。

備忘のため少しメモを残しておこうと思います。箇条書きで申し訳ありませんが、講演の流れに沿って、自分の知らなかったことあやふやだったこと、新たな知見を中心にまとめております。


2008年に、クボタ神崎工場周辺の家庭における近隣暴露が、社会的問題になったことは記憶に新しいところであります。過去に石綿曝露があったと認められている作業として、石綿製品の製造や石綿吹付配管作業など、有名なものは当然なのですが、ガラスの製造や歯科技工士、それから映画の設備や舞台関係の仕事(これは緞帳に石綿が使われていたそうです)などもあるということに驚きました。

呉にはたくさんの石綿肺患者さんがおられたということですが、これは戦艦大和を始め、たくさんの軍艦を呉で作っていたことによるそうです。軍艦の多くには難燃性のアスベストが多量に使われていたということは、改めて伺うとなるほどと頷かされます。

WHOによると、普通?でも空気1 L あたり20本未満の石綿は浮遊している、ということで いわゆる特定できない真の環境曝露による石綿肺というものもあるのです。

石綿ばく露の医学的所見は、石綿小体と胸膜プラークです。胸膜プラークの存在は通常CTで行いますが、外科手術をした時に胸膜面に白色のプラークが見えることもあり、これを写真に撮っておくと認定の際に有利になると伺いました。

プラークの好発部位は第7から第10肋骨外側及び横隔膜上で、肺尖部や肋横角にはできないとのことですが、その理由は分からないそうです。

一方、石綿小体は病理組織や気管支肺胞洗浄液内に証明することが必要です。

特発性肺線維症(IPF/UIP)のような線維化、という意味での石綿肺があるのかないのか、今問題になっているということです。以前は確か、特発性肺線維症とCTでも鑑別が困難な典型的な蜂巣肺を持つ石綿肺もあると言われていましたが、2010年頃からそれは違うのではないかという議論が出てきているそうです。

典型的な石綿による線維化というのは、病理で見た時に、入ってきた石綿が(細気管支に引っかかって)細気管支周囲に線維化を作り、その線維化巣が手をつないでいるような所見が見られます。そんな病理像が、HRCTではcurved linear shadowを呈するとのことです。

…まだまだこれは序の口なのですが、ちょっと盛りだくさんでしたので明日に続きます。今日も「会」がありますし。

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posted by 長尾大志 at 16:40 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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