それから良性石綿胸水とびまん性胸膜肥厚です。これらは良性疾患です。
良性石綿胸水については、労災においては原因や治療方法が分かっていないため、支払いが限定的になるということです。プレドニン30mgを使って胸水が減ることもありますが、全然効かずに繰り返しの穿刺排液しかない、ということもあります。
胸水貯留を来す他の原因を全て除外することで診断、となるわけですが、具体的な診断基準案としては、以下のように考えられています。
・職業性のアスベスト曝露歴がある
・胸水穿刺により胸水の存在が確認される
・検査所見等により胸水をきたす他の疾患を除外しうる
ただし胸腔鏡検査ができない症例では1年間経過観察をして悪性腫瘍と他の疾患を否定する、というのが基準案として挙げられています。
びまん性胸膜肥厚というのは広範囲で肺の一葉以上を巻き込むような胸膜の線維化(臓側胸膜の病変で壁側胸膜とは癒着をしている)です。
労災や救済の対象は、その病変の範囲が【一側の場合は胸郭全体の1/2以上、両側の場合は1/4】を超えるものをさします。
このびまん性胸膜肥厚は、アスベスト曝露以外でも発生するのでアスベスト曝露歴が明確であることを証明する必要があります。
びまん性胸膜肥厚は良性石綿胸水後に発生することが多くて、器質化する胸水を認める例が過半数以上あります。器質化胸水の定義は以下の通りです。
・胸水の器質化
・胸郭の狭小化
・Crow’s Feet Sign
・胸水が少なくとも3カ月増加しない
・胸水の中に空気層がある
2019年03月05日
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