2019年03月18日

第4回腫瘍センター講演会見聞録2

『がん治療の歴史を変えた免疫チェックポイント阻害剤』ご講演の振り返り、続けます。

偽増大と別に、Hyper Progressionという現象もあります。ICI を投与した後、急に腫瘍が大きくなるような現象であり、頻度的には十数パーセントと、決して無視できないことから、今後はHyper Progression を防ぐためにICIを抗がん剤と併用する方向になるだろうと考えておられました。

リチャレンジ、つまり再投与についても、症例が豊富なご施設だからこそ多くのご経験があり、ある程度効果があることも経験されているとのことです。特に1回目の投与で効いていなかった症例が再投与で効いた、という例を見せて頂くと、希望が出てきます。

それからステロイド内服症例でのICIの効果について触れられましたが、これはICIが免疫を賦活する薬剤であることを考えると、誰しも疑問に思われるかと思います。どうやらベースラインのステロイドの量によって効果は異なっていて、10mg/日以上服用している症例ではどうやら効果が薄そうだ、というエビデンスが出ています。

ただこの結果の解釈として、10mg/日以上ステロイドが必要、ということはそれなりのPSであるということを考慮すべきとも言われていて、そもそもICIがPS不良例に効果が低いことを考えると、ステロイドそのものがどの程度効果を低めるのかについてはまだ結論が出ていない、ということです。

また抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体で効果などに差があるか、というお話もありましたが、これはこの度のスポンサー、COIなどを考えると、ここで触れない方が良いかなと思います。

副作用についてはこれまでにも多くの報告があり、まあとにかく多彩であるということが分かってはいます。一点、間質性肺炎に関して言っておられたのは、いわゆるTKIなどによる間質性肺炎(発症すると大変予後が不良)に比較すると、ICIによる間質性肺炎はステロイドの効果が期待でき、予後は良い方であるということです。逆にICIで間質性肺炎を起こす症例では奏効例が多いということも言われています。

もちろん間質性肺炎がある例にICIを積極的に使いましょう、ということではありません。ただGrade1であれば再投与しても再燃は少なく、Grade2や3の症例では再投与で2/3が再燃していますので、Grade1であれば再投与もOKかもしれません。

これらのエビデンスを基に、ご施設の方針として患者さんが希望されれば間質性肺炎様の陰影があっても、よくよく話し合い説明のうえ投与することはある、とのことでした。

TKIとの併用・連用では間質性肺炎のリスクがさらに上がるため危険である、特にICIが先でTKIが後ということになると、ICIは半減期が長いのでTKIと併用することになってしまう、これは具合が悪いと言われました。

それ以外の副作用としては、甲状腺炎を起こした症例は予後が良い、などなどいろいろなお話がありました。副作用に関してはたくさんの病名があるわけですが、患者さんにたくさんの病名をお話ししても混乱されることが多いため、どちらかというと症状を患者さんに説明しておくことで、早めの発見対処を可能にできるというお話もありました。


たくさんの症例経験から実際の現場で役立つお話をして頂きました。倉田宝保先生、本当にありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 17:55 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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