2019年08月13日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編5

正常よりも横隔膜が1肋間分以上低いと、肺が大きくなっている、と考えます。


肺が大きくなるもの

肺が大きくなる疾患の代表はCOPDです。COPDは、長期間・大量の喫煙によって肺胞壁がエラスターゼなどによって分解され、徐々に破壊される疾患です。

肺胞壁が破壊されることによって肺の弾性収縮力が失われ、末梢の気道が閉塞しやすくなる〈閉塞性肺障害換気障害〉が生じます。特に呼気時に末梢気道が閉塞することによって、吸い込んだ空気が吐き出されにくくなるエアトラッピング(空気のとらえこみ現象)が生じます。

そのため、肺内に吐き出せない空気がだんだん溜まってきて、肺容積が大きくなっていきます(肺の過膨張)。肺が膨張することで横隔膜は圧されて位置が低下し、平らになります(平低化)。同時に胸郭の前後径が大きくなってきて左右径と同じくらいになり、樽のように見えます(樽状胸郭)。これを X 線写真で見ると、横隔膜が低く平らになり、肺が大きく見えるのです。

心臓は、横隔膜が下がることと肺に圧されることで、縦長になって左右対称に見えるようになります。その様子があたかも水滴のように見えることから、滴状心と呼ばれます。

スライド13.JPG

元々の体格や病態によっては、COPDでも必ずしも過膨張所見が見られないことがあります。横隔膜の位置が低下する過膨張以外にCOPDで見られる所見としては、以下のようなものがあります。

・肺野の濃度が低下し、黒っぽく見える
・肺紋理が見えにくくなる
⇒COPDでは肺胞や血管が破壊されるため
・(嚢胞壁からなる)線状の陰影が目立つようになる
⇒嚢胞がたくさんできるため

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posted by 長尾大志 at 18:01 | Comment(0) | 胸部X線道場
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