2020年01月12日

〈遅報〉『第13回びまん性肺疾患フォーラム』見聞録2

今日のセミナーも無事に?終わり、帰ってまいりました。自分の中で、咳の鑑別・診断がまとまってきた気がします。診断論、まとめられるかなあ…。

さて、昨日の続き、『第13回びまん性肺疾患フォーラム』の振り返りです。


引き続き、『線維化性間質性肺疾患の疾患進行性フェノタイプ』の中の各病態に関して、まず特発性間質性肺炎、中でも特発性肺線維症について公立陶生病院の近藤康博先生のお話でした。

こちらもKolbの論文(Respir Res. 2019 Mar 14;20(1):57.)を読めという話ですが、とにもかくにもIPFは進行性フェノタイプの代表であることは間違いないものの、なかなかそれ以上のことは言えないようなお話、画像の悪化する速度が進行と相関する謎のお話でしたがなかなか難しそうでした。


続いて神奈川県立循環器呼吸器センターの小倉高志先生による『IPF以外のIIPs』のお話。

・IPFのGAP ScoreにILDのタイプを加えたILD-GAP Scoreが一つの参考になる。
・喫煙者が入っているコホートではNSIPでも予後が悪い。つまり喫煙者であるということ自体が一つの予後因子になる。
・肺機能の低下はNSIPでは一部関係がある。治療反応性が良いと一般的には予後が良いが、ただ予後が悪いものも含まれる(そりゃそうですね)。
・INSIPよりもCTD、IPAF(膠原病IP)の方が予後が良い。
・unclassifiableはIPF/UIPとNon-UIPの間の予後になり、急性増悪もINSIPより起こしやすい(2%対10%)。
・バイオマーカーに関してはまだ研究途上である。

結局のところ<免疫抑制治療となる>炎症性病変と、<抗線維化薬治療>となる線維化病変の割合がどうなのか、そういうことがクライオバイオプシーで分かるかどうか、その辺りの研究が進んでいるようです。
クライオ標本でfibroblastic fociとかがあれば抗線維化薬を使うというプラクティスも最近はあるようです。


そしてそしてその次に、非特発性疾患等のお話がありました。まずは関節リウマチ。大阪医科大学三島南病院内科の槇野茂樹先生によりますRA-ILDのお話。

・RA-ILDはとにかく多彩である。言えることはRA-NSIPよりRA-UIPの方が予後が不良であるということ、しかしながらここでもunclassifiableが結構あるとのこと。症例数はUIPが多そう。
・RAの死因はUIP合併例だというUIP死が多い。
・UIPの中に気道病変が先行するものが含まれている。
・INBUILD study(N Engl J Med. 2019 Oct 31;381(18):1718-1727.)はUIPパターンがあればRA-ILDでもニンテダニブの効果が期待できる、という結果であった。
・IVCYは長期には使えないので、RA-CFILDには不向きと考えている。
・抗CCP抗体陽性だとILDが多い。


公立陶生病院の山野泰彦先生は、強皮症について語られました。

・限局皮膚硬化型とびまん皮膚硬化型とでは臨床像のパターンが異なる。
・自己抗体によってパターンが異なっていてNSIPが80%、UIPが8%だが、組織型による予後の差はこれまで明らかにはなっていない。むしろILD病変の広がりが予後不良と関係している。
・抗セントロメア抗体、U1-RNP抗体陽性だとPHが起こりやすい。
・強皮症は、特にScl-70陽性の場合、序盤に結構ILD病変のピークが来て、その後ゆっくり進行する。
・SENSCIS(N Engl J Med. 2019 Jun 27;380(26):2518-2528.)研究ではニンテダニブが進行を抑制した。
・KL-6は一つの手がかりとなるようだが、リミテーションのある研究しかない。
・強皮症に関してガイドライン策定中であり、予後不良因子があれば早めに治療介入すべきとなるだろう。
・膠原病内科医は、普通はRAやSLEを診たい人が多く、強皮症を診たいのはK大学一門ぐらいではないか。
・強皮症があると手指の血行が悪くなり、SpO2が測定しにくいので、10本とも指を見てみないと正確とは言えない。耳にもRaynaudがあるため、耳朶でも測定が困難だったりする。
・強皮症の死因1位はILD、2位は肺高血圧である。


次に浜松医科大学の穂積宏尚先生によりますANCA関連血管炎のお話。穂積先生はこれまで存じ上げなかったのですが、お若いのに大変エレガントなプレゼンテーションで印象深かったです。

・MPAは日本に多く、EGPA、GPAといった肉芽腫性の疾患は欧米に多い。
・厚生労働省の診断基準は国際的に統一されたものではなく、Wattsらのアルゴリズムを使うことが多い。
・ILD合併例ではILDが先行することが多い。その場合HRCTではUIPパターンが多い。MPAにILDが合併すると予後は不良である。%FVC低値が予後不良。急性増悪の発症頻度はIPFと同等。


そして慢性過敏性肺臓炎に関して、神戸市立医療センター西市民病院の冨岡洋海先生がお話しされました。ここもなかなか混迷が増しているといった印象。

・CHPはPF-ILDの結構な割合を占めている。
・鳥関連の過敏性肺炎だとなかなか肉芽腫が見つからないこともある。
・Head Cheese appearanceがあると予後は良好。
・国際診断基準は現在策定中である。
・画像上13%にPPFE所見があって予後因子となっている。
・抗原が不明である方が予後は不良である。
・ステロイドの効果は実は乏しくて、特に線維化病変が多いものは厳しい。


最後に済生会熊本病院の一門和哉先生によるARDSのお話。開始から四時間半が経過し、なかなか厳しい状況でしたが、印象的だったのはこれまでなされた159の研究のうち予後を改善したものは低容量寒気と腹臥位の二つだけということ。組織型ではDADは予後不良だがDAD以外も多いということ。炎症性のフェノタイプだとスタチンが反応するかもということ、などなどが印象に残っています。


登壇された先生方は皆様熱心にお話しいただき、現状の把握に大変参考になりました。先生方、本当にありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 23:46 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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