2021年06月28日

血痰・喀血9 血の出どころ

血痰・喀血の出血源は肺胞から口腔(鼻腔)までのどの部分なのか、という観点で鑑別診断を考えます。

気管支からの出血は、急性気管支炎、慢性気管支炎(の増悪)、気管支拡張症、副鼻腔気管支症候群、海外の方だと嚢胞性線維症、そして肺癌などが原因疾患としては多いです。肺癌からの出血で血痰・喀血が起こる場合、末梢の肺癌よりも中枢型の肺癌、すなわち扁平上皮癌や一部の小細胞癌、特に気管支内腔に癌組織が露出してることも多い扁平上皮癌で多く見られます。これは同じように血管に浸潤して破綻が起こるとしても中枢の血管の方が太いというところによります。

これら気管支からの出血では、一般的に気管支動脈からの出血になるためより多量に出血します。一方で肺胞からの出血は肺循環の破綻によるもので、血圧が低いため、大喀血を起こすということは少ないようです。もちろんびまん性肺胞出血のように、出血量自体が多くなってくると出血量は多くなります。

肺胞領域の出血のうち、両側びまん性に生じたものはびまん性肺胞出血と呼ばれ、出血量によって血痰・喀血の原因になります。その原因は炎症性のものと非炎症性のものがあります。炎症性というのは血管炎、全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患、それにGoodpasture症候群のような抗基底膜抗体による肺胞基底膜の障害などがあります。肺炎における病変部での出血も、くくりでいうとこちらに入ります。

炎症でないものとしては出血傾向によるもの、これは全身性疾患による血小板減少や凝固障害よりも、昨今では先に挙げた抗凝固薬によるものが多い印象です。それと心不全、こちらは圧力でしみだしてくる血液ですが、泡沫状の痰に血液が混じってピンク色に見える、という感じであり、喀血、となることは少ないでしょう。

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posted by 長尾大志 at 17:18 | Comment(0) | 血痰・喀血・肺胞出血
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