また、気管がかなり左に引っ張り込まれるように弯曲しており、横隔膜も見えなくなっていることから、肺は縮んでいるであろうと推察できます。
左上肺野は比較的高吸収域は少ないですが、胸膜直下に濃い部分があるのが特徴的と言えるかな、と思います。結節影もチラホラ見られます。
そういう目で右側を改めて観察すると、やはり胸膜直下に高吸収域が散在しています。
これだけの(左肺の)強烈な収縮が生じる疾患はあまり多くありません。そして胸膜直下にべたっとした濃厚な陰影。片側優位でもありまずは抗酸菌感染、特にMAC症、そして片側のPPFEを考えたくなります。
本症例はMAC症と診断し治療を行い、排菌は陰性化しましたが肺の収縮は進行した、PPFEもあったのかもしれない…という一例になります。
抗酸菌症とMAC症はこれくらい強烈な収縮が起きて胸膜直下の濃厚な病変が出る事を学びました。今回も貴重な症例をご提示くださりありがとうございました。