6年前の画像から、胸郭の形や陰影の分布に違和感があることに気づかれるでしょうか。その違和感が、今回の画像でさらに強調される結果になっています。
胸郭の形としては、横隔膜が上に引っ張り上げられ、気管分岐が開大、肺門の位置が上昇している⇒上肺優位に肺が収縮している。
陰影の分布は、両側の肺尖から上肺野に濃厚な高吸収域が存在、その周囲から両側びまん性にすりガラス影・網状影が生じている。
それらの変化が数年の経過で進行してきている、ということで、いわゆるPPFE(pleuroparenchymal fibroelastosis)、上葉優位型肺線維症を考えたい画像です。
PPFE(ぽい陰影)はこれまでも何度か取り上げております。
http://tnagao.sblo.jp/article/187909480.html
http://tnagao.sblo.jp/article/188067115.html
http://tnagao.sblo.jp/article/188913946.html
何枚か通してご覧いただきますと、PPFE感?観?を培っていただけるのではないかと思います。どうぞご覧ください。
1つ質問させてください。
肺線維症は肺癌がより高率に出現するようで、胸部写真では高吸収域の解釈に苦しむ場面がありますが、腫瘤と繊維化に伴う陰影の鑑別に何かコツはありますでしょうか?(もちろんCTは撮るのでしょうが)
ご教授いただければ幸いです。
1枚の単純X線写真で高吸収な部分の質的診断まで行うのはなかなかハードルが高いです。よく使うのは「以前との変化」ですね。
以前の写真がない場合、例えばリンパ節腫脹があるか、胸水があるか、リンパ管症のようなカーリー線があるか、など、他の所見との合わせ技で推測しますが、わからないことも多々あります。
同じ疾患を集めてみると、また本ができるかもしれませんね〜。
なるほどです。
もし疾患別の書籍が出ましたら、ぜひ購入させていただきます。出来れば、電子書籍版もあると幸いです(笑)