2022年08月25日

肺非結核性抗酸菌症・肺MAC症のお勉強5

ALIS(アリケイスレジスタードマーク)はAMKをリポソーム粒子に封入した吸入用懸濁液剤で、専用のネブライザシステムを用いて吸入することにより、肺末梢の肺胞まで効率的に分布するそうです。リポソーム粒子によって、マクロファージへの取り込みが促進されており、効率よく患部に薬剤が届くとされています。それはいいのですが、吸入器の組み立てや吸入手技、それと薬価が高いことなど、気軽に導入、とするにはいささかハードルの高い薬剤になります。

肺MAC症の治療で得られているエビデンスには、少なからず「主要評価項目に有意差はなかったが、菌陰性化率では有意に差があった」みたいなことが多いものです。菌の陰性化にどれほどの「臨床的」意義があるか、これも議論のあるところかと思いますが、そもそもMAC症の治療期間の設定でも、ATSガイドラインはじめ「喀痰抗酸菌培養陰性となってから少なくとも12カ月以上」の治療が推奨されています。

ここで質疑応答の時間となり、実際問題、現場では診断時にすら喀痰がなかなか出なくて難航するケースも多く、特に高齢女性だと痰が喀出できない、得られないことが多いのですがその場合どうするか、という質問がありました。現実的には、細菌性肺炎のように厳密に良質な喀痰を求めることは叶わないことが多いため、とにかく唾液であってもなんであっても提出してもらって、それで菌が陰性であれば現実的にはそれで陰性と解釈せざるを得ないのではないかというお話でした。また、別の方から痰が出なくなったこと自体が効果ありという解釈もできる、というご意見も頂きました。

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posted by 長尾大志 at 10:39 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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