各講座の先生方のご協力を頂き、『第117回医師国家試験対策講座@島根大学』を粛々と開催させていただいております。
昨日はちょっと全く空き時間がなく、皮膚科の千貫先生によります皮膚科対策講座に何とか滑り込むことができましたが、昨日は更新できませんでしたので、本日レポートをさせて頂きます。皮膚科はまた明日山ア教授がご登壇いただけるとのことで、大変手厚い体制を頂いております。ありがとうございます。山ア教授は腫瘍と感染症について取り上げられるとのことで、昨日はそれ以外の疾患に関するお話でした。
まず最初に皮膚の構造についてお話があり、表皮・真皮・皮下組織からなるもので、表皮にできるのが湿疹・皮膚炎で真皮に生じるものが蕁麻疹及び血管性浮腫、という原則のお話があり、表皮は基底膜から表皮細胞が基底膜で作られ表面まで上がってくるのに一か月間、すなわちターンオーバーが1ヶ月間であるということです。
湿疹と皮膚炎はほぼ同じもので、表皮細胞間の浮腫であるということ、そしていずれにしても治療にはステロイド外用剤を使うというお話がまずありました。各論としては接触皮膚炎はよく出題されパッチテストを行うということ、それから皮脂欠乏性湿疹や貨幣状湿疹は冬の乾燥する時期に下腿の伸側に生じるもので、見かけが違うということを習いました。
それからアトピー性皮膚炎、やはりこれは出題しやすいジャンルだということで色々お話がありましたが、数日前、かの大塚先生に来雲いただきアトピーのお話を聞いていましたので、よく理解できました。大塚先生も言われていましたが、アトピー性皮膚炎の診断基準は@かゆみA左右対側性の湿疹B慢性反復性(乳児では2ヵ月、その他の世代は6ヶ月以上)の経過というものであります。
昨今のキーワードとしてTARCがありますが、さすがにまだ国家試験には出ないのではないかとのことでした。治療はこれも最近新薬が多く出てきているようですが、ステロイドやタクロリムス外用までではなかろうかというご見解でした。それと特記すべき点として、合併症が眼に多い点を強調されていました。
真皮の疾患として、蕁麻疹は真皮の中でも浅い部位に生じ、数時間で跡形なく消失する、そして痒い。血管性浮腫は数日で跡形なく消失し、痒くないというお話を頂きました。皮膚描記法は機械性蕁麻疹の時の診断方法になります。
それから水疱症としては、天疱瘡と類天疱瘡。天疱瘡は表皮内、類天疱瘡は表皮下、真皮との間に水泡ができるものです。天疱瘡の中に尋常性天疱瘡、これは口腔内にほとんど出来る、弛緩性の水泡というキーワードがありました。他に落葉性天疱瘡、Haily-Haily病(家族性良性天疱瘡)とDarier病、これらは病理が類似していて、違いまでは分かっておく必要はないのではないかとの見解でした。Darier病は昨年の選択肢にあがっていたため取り上げていただいたとのことでした。
類天疱瘡は表皮下にあるため緊満性の水泡になりますが、表皮化なので一見して水疱ぽくない写真もたくさん見せていただきました。
そして薬疹。固定薬疹は感冒薬を飲むと同じところにその都度皮疹が出るものであり、病歴からはすぐにわかりそうです。重症薬疹にはDIHS、Stevens-Johnson症候群、TENがあります。DIHSはHHV6が活性化しているというのがキーワード。Stevens-Johnson症候群は発熱あり、粘膜面に皮疹が生じ、特に眼病変は後遺症が多く、QOLの低下につながります。Stevens-Johnson症候群がさらに進行し、体表面積の10%を超えるとTENになり、死亡率が高いです。某やんごとなき先生がStevens-Johnson症候群を当初…それでもみるみるうちに悪化するためすぐに診断ができた、ということです。
そして最後に炎症性角化症である乾癬の紹介でした。尋常性乾癬は頭・肘・膝にうろこ状の皮膚病変ができます。アウスピッツ現象・ケブネル現象といった名前のついた現象は出題しやすいので覚えておくように、とのことでした。膿疱性乾癬はこれまたKogoj(こごい)の海綿状嚢胞という実に出題しやすいキーワードが出てくるため要注意です。
私自身、最近皮膚科の体系だった講義をほとんど受けておらず、懐かしかったり目から鱗だったり、貴重な学びの時間でした。たくさんの写真を見せていただき大変勉強になりました。千貫先生、ご多忙のところ本当にありがとうございました。
というわけで次回は明日30日水曜日18時から、L3講義室にて山ア教授のご担当でお願いしております。収録はございませんので、皆様どうぞオンタイムにてご参加の程、よろしくお願い申し上げます。
2022年11月29日
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