(@の続き)
な:僕はあの、皆さんどう思われてるか知らないですけど、本当はかなりふざけた人間なんですよ。 学生の時も全然勉強しなかったし、本もろくに読まず医者やってたんですけど、やっぱりそれだと「ひとに教えられへんな」と気づいて。前の大学で学生さんに教え始めた時、「これどういうことですか?」って聞かれても「いや、わからんわ」って自分がなった時に初めて本を開きました。 で、勉強すると色々繋がるから面白くなってくるんですよね。例えばCOPDの診察所見で「なんで頸部にみえている気管の長さが短くなるんやろう?」と疑問に思ったことを調べたら、ちゃんと理由があるわけですね。で、見えている物事の理屈が分かるようになったら、「これオモロイな」ってなるんです。僕はご覧の通り?オタクなんです。オタクって、感動を誰かと分かち合えればすごくHappyなんですよ。自分が面白いと思っていることを早口で誰かに伝えて「ほんとだ!面白い!」って、こう目がぱちんって開いてくれたら、「そやろ〜」って我が意を得たり(ニヤリ)という風なね。まあこれは全然王道のやり方ではないので、教育として正しいのかどうかも分からないですけど。
と:長尾先生にとっては最初から教育が一番大事だったのですか?
な:紆余曲折は色々ありました。当時は診療科の実働部隊が二人しかおらんかったから、もうホンマ大変で。最初は病棟に患者さん30人ぐらいいたので一人で15人ずっと見ながらそれで同時に授業をやって実習やって研修に学生さんついてきて、ほんで外来やってみたいな。もう無茶苦茶やったんですよ。だから、授業しながらでも電話がかかってきて「今から挿管してください」って途中で病棟に呼び出されるみたいな。
と:えー!!!
な:自分でも「ホンマ何してんやろ」と思ってました。そんな生活をしてたから、だから逆に教育はやっぱり片手間ではできへんなっていうのもすごく思ったんですよ。教育の専任が要るんちゃうかと。自分が集中できないんですよ。挿管しながらでも処置終わったら戻らなきゃと授業のことを考えるし、授業しながらでも患者さんのことが気になってどちらにも集中できない。
と:集中できないのは怖いです…
な:それじゃあアカンと思いました。ほんで何年か経って医局に少し人が増えてきた時に、教育専任にしてくださいって上の先生に頼みました。 そこから教育に比重をかけていくようになったんですよ。
でも、最初はポジティブなフィードバックがもらえているって分からなかったんですよ。学生さんが授業評価に「長尾の授業がおもろかった」と書いてくれてるのを僕は全然知らなくて。だけど、ある年ベストティーチャー賞で1位に選ばれていた救急の教授から「実は長尾君の評価が一番だったけど、君は助教だからベストティーチャー賞を貰う資格がないんや。ほんとは君だぞ」って言われました。実際の評価は僕の知らないところで握りつぶされていたらしく…
と:ええ!(@_@;)
な:そう、僕も「ええ!(@_@;) 」って驚いて(笑)
その教授が教えてくれるまで、自分の授業が学生さんから評価されている事実を知らなかったんですよ。教授が「ほんまの1位は君のもんやねん。だから賞金半分あげるよ」って。
と:そこは半分なんですね笑
な:そう笑。ほんで、その時にはパソコン買ったんですよ。
と:おお、意外と金額ありますね。
な:そこそこありましたよ、半分でも(笑)
(Bに続く)
2023年03月16日
2022年度卒業生謝恩会BOOKインタビュー・オタクは仲間を増やしたいA教育沼にハマるまで
posted by 長尾大志 at 12:01
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| 教育理念・メッセージ
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