2024年09月04日

成人肺炎診療ガイドライン2024〈59〉院内肺炎の原因微生物

入院している患者さんは、手術とか、副作用の大きな(免疫力を低下させるような)薬剤を使うとか、中等症以上の感染症とか、摂食困難とか、挿管チューブやカテーテルが挿入されているとか……それぞれ、ある種の菌が定着、あるいは侵入しやすい状況を持っておられます。

どんな菌が居そうか、広域スペクトラムの抗菌薬を使用されたことによって選択され、そのあたりに定着した耐性菌や、分泌物やら排泄物やらの中に入って出てくる腸内細菌なんかです。両方の要素を持つものとして、緑膿菌とMRSAが有名ですね。

これらの菌が直接、または間接的に(一旦どこかに定着して)患者さんに入り、肺炎を引き起こしたもの。これが院内肺炎です。

ガイドラインには院内肺炎の原因微生物として検出された菌のデータが集積されています。

最も多いのがMRSA(12.9%)、次いで緑膿菌(11.3%)、それからMSSA、肺炎桿菌、エンテロバクター属、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、肺炎球菌、アシネトバクター属、セラチア・マルセッセンス、インフルエンザ桿菌の順でした。

また気管支肺胞洗浄液を用いた16S ribosomal RNA遺伝子を標的とした網羅的細菌叢解析法で検討した報告では、口腔内レンサ球菌(46.6%!)コリネバクテリウム属(23.3%)、黄色ブドウ球菌(13.7%)、ヘモフィルス属(13.7%)、ナイセリア属、緑膿菌、ブドウ球菌属、エンテロコッカス属、ベイロネラ属、エシュリキア属、肺炎球菌、セラチア属となっています。こちらでみると緑膿菌やMRSAはそれほど多くないのかも……とも思えますが、

問題は、医療・介護関連肺炎と同じく、緑膿菌やMRSAに代表される耐性菌をどこまで想定するべきなのか、ということでしょう。院内肺炎における耐性菌のリスク因子として、以下の項目が挙げられています(2項目以上で耐性菌の高リスク)。

@ ICUでの発症
A 敗血症/敗血症性ショック
B 過去90日以内の抗菌薬使用歴
C 活動性の低下、歩行不能
    PS≦3、パーセル指数<50、歩行不能、経腸栄養または中心静脈栄養
D CKD(透析含む)eGFR<60mL/分/1.73m2

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posted by 長尾大志 at 18:45 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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