2024年11月05日

成人肺炎診療ガイドライン2024〈76〉広域ペニシリン

PCGの構造を変更して、グラム陰性桿菌にも効くようにしたものです。緑膿菌に効くやつと効かないやつ、大きく分けて2種類あります。

緑膿菌に効かない広域ペニシリン(狭域、あるいは準広域、といってもいいかも……?)
•アンピシリン(ABPC:ビクシリンⓇ|注射薬)
•アモキシシリン(AMPC:サワシリンⓇ|経口薬)

グラム陽性球菌(連鎖球菌、肺炎球菌)に加えて、グラム陰性桿菌のインフルエンザ菌に対するスペクトラムを獲得しました。てことは、多くの市中肺炎にはこれでOK?スペクトラム的にはそうですね。問題は耐性菌です。

肺炎球菌の耐性菌であるPRSPやPISPに対しては、よほどのこと(MIC≧4とか)がなければ、ペニシリンの増量で対応できます。ですので、市中肺炎の軽症例では、「ペニシリン経口、大量投与」が推奨されています。

インフルエンザ菌の耐性株はどうか。BLNAR(β-lactamase negative ampicillin resistant)は、名前に「アンピシリン耐性」と入っているぐらいですから、効きません。BLNAS(β-lactamase negative ampicillin sensitive)だったら問題なし。

また、βラクタマーゼを産生する菌には無効です。黄色ブドウ球菌、大腸菌やクレブシエラは産生するのでダメ。インフルエンザ菌だとBLPAR(β-lactamase positive ampicillin resistant)はダメ、ということです。これらに対しては、βラクタマーゼ阻害薬の助けが必要になります。

緑膿菌に効く広域ペニシリン
•ピペラシリン(PIPC:ペントシリンⓇ)

こちらは、上の広域ペニシリンでも果たせなかった、緑膿菌に対するスペクトラムを獲得した、超広域のペニシリンであります。当然、グラム陰性桿菌であるインフルエンザ菌にも強い強い。

緑膿菌に効く、ということは、裏を返せば緑膿菌以外の感染症には使わない方がいい、ということであります。また、βラクタマーゼで分解されるので、βラクタマーゼを産生する菌にはやはり効き目がありません。ということで、βラクタマーゼ産生菌が増えている昨今では使いにくくなっています。

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posted by 長尾大志 at 13:24 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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