2024年11月19日

シン・COPD12 COPD患者さんの身体所見があんな感じになる理由

COPD(肺気腫)の本質は、肺胞の破壊。それによって(細)気管支の支えが失われた結果、吸った空気がなかなか出て行けなくなります。結果、肺の中に空気がたまり、肺がだんだん伸びて(膨張して)きます。

肺が膨張(過膨張)することで、独特の身体所見が見られるようになります。有名なところでは、樽状胸郭、濁音界低下、滴状心、気管短縮、呼吸音減弱、口すぼめ呼吸などがありますが、そうなる理由はご存じでしょうか? 理由を理解することで、これらの変化がスンナリと頭の中に入ってきますよ。

・(ビア)樽状胸郭
COPDでは呼気時に気道抵抗がかかって、なかなか空気が出て行かないために、胸郭は頑張って肺を圧します。ところが肺はなかなか縮まないので、胸郭との間で押し合いになるわけです。その場合、胸郭の一部に重点的に圧力がかかるのではなく、全体的に均等に圧がかかって外向きに圧されます。

均等に圧力がかかって膨らむと、胸郭は上から見たときに円形に近づきます。結果、前後径と左右径が等しくなって、樽のような形になるのです。

・打診で濁音界低下、滴状心、心尖拍動が心窩部に移動、頚部気管の短縮、
過膨張になると肺が下方向にも伸びて、横隔膜を押し下げます。その結果、濁音界は低下します。また、横隔膜が下がると、そこに乗っかっている心臓は立ってきて、水滴のように左右対称に見えます(滴状心)。心臓が立ってくると、心尖部は内側・下側に移動し、心尖拍動が心窩部で触れるようになります。COPD患者さんにはやせ形の方が多いため、心尖拍動は容易に触れることができる、というか、肉眼でも観察できるようになるのです。

また肺が下の方に膨らんでいくときに、気管〜気管分岐部〜肺門部全体がその肺の膨らみに合わせて下に引っ張られます。そのために頚部に見えている気管の長さが短くなってくるのです(気管短縮)。

・呼吸音減弱、打診で鼓音
進行したCOPDでは肺胞が破壊され、空気の出入りそのものが少なくなります。また、気管支で発生した呼吸音が伝達する際に、肺内に空気成分が増えてくると伝達が悪くなり、胸壁で呼吸音が聞き取りにくくなります。すなわち、呼吸音が減弱します。
空気成分が増えたことで、打診でトントン叩くと中空の感じで、よく響くようになります。太鼓のような音、という意味で「鼓音」と呼びます。鼓音は健常者でも胃泡の上で叩くとよくわかりますので、ご自分で確認しておきましょう。

・口すぼめ呼吸
COPDでは肺胞が破壊され失われることで、呼気時に肺が圧されると細気管支(末梢の気道)が閉塞して、空気が出ていきにくくなります。
呼気時に口をすぼめると出口で抵抗がかかり、気道内の圧力が上昇します。太い中枢の気道から細い末梢気道内まで、ずっと圧力が上昇しますから、細気管支の閉塞(虚脱)が少しは軽減されることになるのです。

COPD患者さんは経験的にこうやると息を吐きやすくなることを実感していて、特に教わらなくてもやっておられることが多いのです。

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posted by 長尾大志 at 16:21 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー
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