肺聴診だけで1冊、それってどうなの?という意見もあるかもしれません。これまでにも肺(呼吸音)聴診を扱った書籍や音源はいくつも出ておりますが、肺聴診だけで1冊、ということになりますと書籍のボリュームが若干不足する印象です。これまでに上梓されていた書籍も、古くはカセットテープやCDが(に?)付属していたり、身体診察にページを結構割かれていたりということで、なかなか聴診だけで1冊というのは難しかったように思います。私が若い頃に聴診の勉強をしたのは「CDによる聴診トレーニング」という、CDに薄いブックレットが付属したような教材でしたが、こちらも一通りの所見に対する音源が付属していました。
この書籍も肺の聴診のみに関して記載されているわけではなくて、例えば最初のところでは聴診の歴史的背景、用語の変遷から統一の経緯、聴診器の選び方や呼吸器疾患の身体所見というところにも30ページ程度割かれていて、これも大変興味深いものです。それに続いての呼吸音のあれこれも、「この1冊からはじめる=Biginner‘s Guide」の名にふさわしい、初学者にも優しい基本事項・原理のところから、以前参加した肺音研究会で感じた、血沸き肉躍るような、オタク心をくすぐるような深い学び・蘊蓄の数々まで、およそ肺音に関することは(マニアの方以外には)これ1冊で完結するのではないかと思われるほどの記載があります。小児の呼吸音という章があり、小児の呼吸音の特徴も述べられていますので、小児の聴診機会が多い先生方にも有用でしょう。(つづく)

