2025年08月08日

『この一冊からはじめる 肺聴診の手引き/肺音(呼吸音)研究会編集』書評つづき

少なくとも学生さんや研修医の先生を指導する立場の先生方は是非『この一冊からはじめる 肺聴診の手引き/肺音(呼吸音)研究会編集』をご覧いただき、若い方にその理屈から教えていただけると、興味を持っていただきやすいのではないかと考えます。

自分は毎週学生実習で呼吸器の身体診察を教えるのですが、多くの学生は呼吸器の実習を通して最も印象深かったのは「身体診察をきちんとできるようになったこと」だと言ってくれます。五感を使って情報を得る身体診察の技法を獲得することは、若い人にとって他では得られない貴重な体験になっているようです。これがきっかけで呼吸器そのものに興味を持つ人も多く、本書をリクルートにも役立てていただけると思います。

さて、こちらの書籍は肺音(呼吸音)研究会の主要なメンバーの先生方が執筆されています。私自身も以前に一度肺音研究会に参加させていただいたことがあります。当時から重鎮の先生方の熱量が大きく、多くのことを教えていただいて大変勉強になりました。当時のテキストは今も大切に保存し、折に触れて参照させていただいておりますが、なかなか通常の教科書には載っていないような古の呼吸音分類、呼吸音の成り立ちの医学的な理屈、それからサウンドスペクトログラムによる聴診音を可視化したものを見せていただくことで理解が深まると感じました。そのあたりのことがらも本書にはしっかりと盛り込まれています。肺音研究会に参加してみたいけどハードルが高い、という方はこの1冊でそのエッセンスを知ることができて大変お得ですね。

肺音研究会でただ一点気になったのは、会の後半で音を会場に流して「この音を何と表現しますか?」という、皆で考えるコーナーがあったのですが、結構微妙な音になってくると会場の中でもこの音はこれ、ということに対して意見が一致しないことがありました。特に重鎮の先生方の間で意見が一致しないところが、それこそまさに臨床の「醍醐味」と言えるのかもしれませんが、ひょっとすると重鎮の先生方ですから高音性難聴になっておられる可能性もあったりするのでは?と、妙なところで感心した記憶があります。

幸いここに収録されている音は、聴く人によって解釈が異なるということがない、しっかりと定義に当てはまるような音ことばかり収録されていますので心配は無用であります。

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posted by 長尾大志 at 10:08 | Comment(0) | 日記
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