2010年10月11日

呼吸器内科医の望ましいキャリアパスについての提言を踏まえた、滋賀医科大学呼吸器内科での赴任方針と実績

もちろん学生、研修医諸君の考えはいろいろであろうし、それぞれのビジョンを否定するものではない。

私のモットーは「好きこそものの上手」である。好きな道に進んでこそ、自分の力を存分に発揮できるものである。ご自分のビジョン・嗜好をお持ちの方には、できる限りそれに即した施設を紹介し、赴任していただく。しかし、かつての私のように、まだ何がしたいのかよくわからない、とりあえずオールラウンドに1人前になりたい、という方々には、以下のようにお勧めしている。


■ 滋賀医科大学でスーパーローテ2年間を行う場合

1,2年目ではなるべく広く多種多様な疾患を経験されることが望ましいので、自由選択科はその観点から選択されてはどうかと思う。また、この機会に呼吸器外科や他の外科を回っておくのも勧められる。2年目で専攻科を回るケースが多いようであるが、幅広い臨床的視点という意味では、必ずしもその必要はないと考える。というのも、3年目以降で、いくらでも専門的知識は身につけることができるからである。

引き続き3年目は当科で、呼吸器内科の全てを一通り研修する。当院は肺癌症例がそのほとんどを占めるが、肺癌ほど呼吸器初学者の勉強になる症例はない。

・レントゲン、CTの読影の基礎が学べる。特に肺野の結節や縦隔リンパ節の存在診断を繰り返し行い、陰影の拡大、縮小を見ることはためになる。また、無気肺、胸水もしばしば経験される。

・いろいろな薬を使う。抗癌剤はもちろん、ステロイド、G-CSFから疼痛管理、発熱すれば抗生剤まで、各ジャンルの薬を使うことになる。

・いろいろなことが起こるので、手技機会に恵まれる。血ガス、ルート確保に始まり、胸腔穿刺やドレナージ、癒着術、中心静脈から場合によっては挿管、人工呼吸管理まで、一通りのことが起こりうる。

その後4年目からは一般病院で独り立ちし、プライマリから急性期、多種多彩な疾患に触れ、呼吸器内科医としての深みを増していただく。


3年目に行うこと

・外来初診、再診の担当
・他科からの対診対応
・呼吸器科の当直
・単独主治医
・学会発表


4年目以降派遣、これまでの実績

天理よろづ相談所病院
倉敷中央病院
京都市立病院
湘南共済病院
大津赤十字病院


派遣先はその他多数あり(呼吸器科上級医が複数いる病院に限る)、研修希望内容、家庭の事情など相談の上決定している。

ハッキリ言って当科の科長は顔が広く、京大はじめ多くの大学の関連病院人事に融通が利く。選択肢は一流の研修施設ばかりであり、うらやましい限りである。


■ 学外病院でスーパーローテ2年間を行う場合

最近の趨勢としては、1,2年目にはマッチングにより外病院で研修と考えられるケースが多いようである。最初にプライマリや急性疾患、救急などに多く当たっておくのも好ましい。ただ、そこにずっといるよりは、先に述べた経験をする機会を求めての異動を視野に入れておかれることをお勧めする。具体的には、以下のごとくである。


・大学での研修(呼吸器内科領域では、緻密な診断の組み立てが必須であるので、少なくとも研修期間中にある程度の期間大学で過ごされることが望ましいと考える)
・高度専門病院での研修(結核、病理、放射線、癌など)
・大学院進学、研究生活
・国内・海外留学


これらの場合でも、上と同様、研修希望内容、家庭の事情など相談の上決定する。

参考までに、本院1-2年目用に作成したモデルコースを下に示す。

平成23年度研修プログラム.jpg

トップページへ

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。