2010年12月20日

肺炎と抗生剤(市中肺炎ガイドラインスーパー簡単版)4

感染症を考える骨組み、全体的な流れはこうでした。
(しつこいようですが、O澤先生のスライドより拝借)

A:感染臓器を把握する

B:起因菌を推定する

C:必要な検査を実施する

D:推定起因菌に有効な抗生物質を投与する


Aで、肺の感染症だ、と目星がついた。入院していただくかどうかも決まった。
次はB:起因菌を推定しましょう。

と言っても、市中肺炎の起因菌推定で重要なことは、ものすごくおおざっぱに言うと、

肺炎球菌をはじめとするグラム陽性球菌
と、
マイコプラズマをはじめとする非定型病原体
をいかに鑑別するか。

なのです。

なぜならば、
マイコプラズマをはじめとする非定型病原体
は、細胞壁を持たないため(あるいは細胞内増殖菌であるため)、βラクタム系薬が効かないから、です。

細菌と、主にマイコプラズマを鑑別する項目として、以下の6項目があります。

細菌ぽい項目 非細菌ぽい項目

高齢者           若年者(<60歳)
基礎疾患あり        基礎疾患なし
痰が多い          痰が少ない
ラ音が聴かれる       ラ音が聴かれない
空咳が少ない        空咳が多い
白血球が増える(≧1万)  白血球が増えない

ただ、この鑑別法は、レジオネラには適用できず、非定型肺炎の完全な鑑別を目指すものではありません。典型的な非定型肺炎を取り上げてマクロライド系やテトラサイクリン系で治療するのが目的、とされています。

一方、細菌性肺炎の代表である肺炎球菌には、マクロライド系はほとんど効きません。つまり、この鑑別法で、マクロライド系を使うかどうかが決まってくるのです。

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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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