これから何回か、COPDを取り上げようと思います。
国家試験にも頻出であり、重要な疾患であります。
結構、覚える事項も多い。
ここでは、知識の羅列は避け、何となく理解しにくい、あるいはよくわからないけどスルーしがち、そういうポイントをいくつか解説することにします。
肺気腫になると、「閉塞性障害」になる。
機械的に、覚えていませんか?
機械的な記憶は、薄れてくると間違いの元。
閉塞性と拘束性を間違えたりとか。
一度心の底から理解しておけば、間違いも減るというものです。
なぜ、気腫肺があると「閉塞性障害」になるのでしょうか。
それを理解するためには、正常肺の素晴らしい仕組みを理解しなくてはなりません。
まず正常な呼吸を考えましょう。
吸気時は、胸郭が外向きに引っ張られ、その結果胸腔内の圧力が低下し、肺がふくらむことで空気が肺内に取り入れられる。
一方、呼気時には逆に、胸腔内の圧力が上昇し、肺が縮むことで空気が肺内に取り入れられる。
空気の出入りは気管〜気管支〜細気管支(気道)を通ってなされるわけですが、一番端っこの細気管支は直径が0.5mmと、きわめて細いものです。肺の伸び縮みに伴って気道が容易に伸び縮みされると、息を吐くときに気道がぺちゃんこになってしまって困るわけです。
COPDスライドこれじゃ困る.pdf
でもご安心を。人間の身体はうまくできています。呼気時に気道がぺちゃんこにならない仕組みがあるのです。
気管〜太い気管支では軟骨の支えがあり、気道の形を保ちます。
細い気管支では、周りの肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が常に少し縮もうとして、気管支を常に外向きに引っ張っています。
COPDスライド肺胞に支えられた気管支.pdf
肺が縮むときには、常に縮もうとしている肺胞が縮むことで、肺胞内の空気が押し出され、気道の直径は保たれるのです。
COPDスライド健康体2.pdf
肺気腫になると、この見事な機構が破壊されるために、閉塞性障害が起こります。続きは明日。
COPDポイントレクチャーを最初から読む
2011年02月08日
この記事へのコメント
コメントを書く