2011年02月09日

COPDポイントレクチャー2・なぜ気腫肺があると「閉塞性障害」になるのか2

なぜ、気腫肺があると「閉塞性障害」になるのでしょうか。
前回、正常肺の素晴らしい仕組みを理解していただきました。
肺気腫になると、この見事な機構が破壊されるために、閉塞性障害が起こります。

具体的には、煙草によって肺胞壁のプロテアーゼ(蛋白分解酵素)が活性化され、肺胞が「溶けてなくなる」ことで、肺の中に穴が開いてきます。これを肺気腫といいます。

肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失します。すると、呼気時に細気管支は支えを失い、ぺちゃんこに閉塞するのです

COPDスライド肺気腫とは.pdf


吸気時は陰圧のため肺が膨張→気管支も拡張
呼気時は肺が収縮→気管支はぺちゃんこに閉塞

このために、COPD患者さんは

息を吸うのは吸えるが、吐くときに困難を感じる→呼気時呼吸困難となるのです。

というわけで、肺気腫になると

■息を吐ききれない、息を吐ききったあとも空気が残る
残気量が増加

■少しずつ吐ききれない空気がたまってきて肺がのびる
全肺気量の増加、過膨張、横隔膜平低化、滴状心

■勢いよく吐こうとすると(すればするほど)気道が閉塞して吐けない
1秒量、努力肺活量の低下

以上のような肺の変化が起こります。

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posted by 長尾大志 at 14:07 | Comment(2) | COPDポイントレクチャー
この記事へのコメント
看護学生1年生です。良く分からなかったところが あります。吸気時は、どうして肺が収縮?するのですか?
Posted by at 2012年01月17日 21:34
よく見直しましたが、やはり

吸気時は陰圧のため肺が膨張→気管支も拡張
呼気時は肺が収縮→気管支はぺちゃんこに閉塞

と書いてありますので、吸気時には膨張する、ということでよいと思います。
収縮はしないです。
Posted by 長尾 at 2012年01月17日 23:02
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