なぜ、気腫肺があると「閉塞性障害」になるのでしょうか。
前回、正常肺の素晴らしい仕組みを理解していただきました。
肺気腫になると、この見事な機構が破壊されるために、閉塞性障害が起こります。
具体的には、煙草によって肺胞壁のプロテアーゼ(蛋白分解酵素)が活性化され、肺胞が「溶けてなくなる」ことで、肺の中に穴が開いてきます。これを肺気腫といいます。
肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失します。すると、呼気時に細気管支は支えを失い、ぺちゃんこに閉塞するのです。
COPDスライド肺気腫とは.pdf
吸気時は陰圧のため肺が膨張→気管支も拡張
呼気時は肺が収縮→気管支はぺちゃんこに閉塞
このために、COPD患者さんは
息を吸うのは吸えるが、吐くときに困難を感じる→呼気時呼吸困難となるのです。
というわけで、肺気腫になると
■息を吐ききれない、息を吐ききったあとも空気が残る
→残気量が増加
■少しずつ吐ききれない空気がたまってきて肺がのびる
→全肺気量の増加、過膨張、横隔膜平低化、滴状心
■勢いよく吐こうとすると(すればするほど)気道が閉塞して吐けない
→1秒量、努力肺活量の低下
以上のような肺の変化が起こります。
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吸気時は陰圧のため肺が膨張→気管支も拡張
呼気時は肺が収縮→気管支はぺちゃんこに閉塞
と書いてありますので、吸気時には膨張する、ということでよいと思います。
収縮はしないです。