前回肺機能の項目をいくつか挙げました。
これも、あいまいなままスルーしがちなので、この機会にしっかり理解しておきましょう。
まずは、人工呼吸に関係のある項目を。
■1回換気量( TV )
呼吸をしていて、肺に空気がどのくらいの量、出入りしているか。
これが換気量です。
1回の呼吸で肺に出入りする空気の量を1回換気量(Tidal Volume:TV)といいます。
健康な人のおおよそのTVは体重1kgあたり10ml。つまり体重60kgなら600ml。
1回換気量(TV)=体重(kg)×10(単位:ml)
体重60kgなら600mlですね。
■分時換気量(MV)
1分間に、肺に出入りする空気の量のことを分時換気量(Minute Volume:MV)というのですが、
分時換気量(MV)=1回換気量(TV)×呼吸回数(1分間に12〜20回)
体重60kgの人なら
600(ml)×12〜20=7200〜12000(ml)
となります。
一般的に、「換気量」といいますと、MVのことをいいます。
次に、いわゆる肺活量に関係した、「肺機能検査」で測定する項目を挙げましょう。
肺機能1.pdf
まずは、ゆっくりと息を吸い、吐く、普通の?肺機能検査です。
■最大吸気位
息をいっぱいに吸ったところの位置。
■最大呼気位
息を限界まで吐いたところの位置。
いうまでもないと思いますが、限界まで吐いても肺の中には少し空気は残っています。
0にはなりません。
■全肺気量(TLC)
息をいっぱいに吸い込んだとき(最大吸気位のとき)肺のなかに存在するすべての空気量を全肺気量(Total Lung Capacity:TLC)といいます。肺の大きさを表します。
■肺活量(VC)
息をゆっくりといっぱいに吸ってから(最大吸気位)いっぱいに吐くまで(最大呼気位)の差を肺活量(Vital Capacity:VC)といいます。これは、肺の中に実際出入りできる空気の量を表しますので、肺の伸び縮みがきちんとできているかがわかります。
%VC:性・年齢・身長から求めた標準VCに対する測定値の割合で、80%未満は拘束性障害といい、肺が伸びる、あるいは縮むことができなくなっている状態を表します。
■残気量(RV)
息をいっぱいに吐いたときに気道の中に残っている空気の量を残気量(residual volume:RV)といいます。これは、肺の中にあるけれども、呼吸には関係のない、「ムダな空気」の量を表します。
TLC=VC+RV という関係がありまして、
肺の大きさ(TLC)=
実際に肺の中に出入りする空気の量(VC)
+呼吸に関係のない空気の量(RV)
なのです。
これを前回やった肺気腫の病態に当てはめると
肺機能2COPD.pdf
■息を吐ききれない、息を吐ききったあとも空気が残る
→残気量が増加=ムダな空気が増加する
■少しずつ吐ききれない空気がたまってきて肺がのびる
→全肺気量の増加、過膨張、横隔膜平低化=肺が大きくなる
あわせると、肺気腫になると、肺がムダに大きくなる。と、言えるかと思います。
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2011年02月10日
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