2011年02月17日

花粉症診療の現状と今後の展望

昨日は、とある研究会で上記の講演を聴いてきました。
講演されたのは、本学の耳鼻科、清水教授です。
普段なかなか聴けない、興味深いトピックが色々ありました。

若い先生方の参考と備忘のため、ポイントを箇条書きで残しておきます。
盛りだくさんの内容で、メモがきっちり取れなかったのが残念です。


花粉症の知識

世界三大花粉症

・イネ科(牧草)イギリス 1819年に報告
・ブタクサ アメリカ 1872年
・スギ 日本 1963年

スギは日本固有の針葉樹であり、スギ花粉症は日本固有の疾患である。
スギは花粉量が多く、飛散距離が長く、飛散期間も長い→影響が大きい

スギ花粉症患者さんの6-8割がヒノキ花粉症であるが、ヒノキは花芽の開く期間が短く、そのときに雨が降ると飛ばないなど、スギとの違いがある。

眼のかゆみはスギ花粉症の特徴で、ハウスダストによる鼻炎では起こらない。

小児アレルギー性鼻炎の低年齢化が問題となっている。
小児の花粉症には自然寛解がない。


治療薬について

Th2サイトカイン抑制薬(IPD)、トロンボキサンA2阻害薬(ベガ、ドメナン、ブロニカ、バイナス)、ロイコトリエン拮抗薬(オノン、キプレス、シングレア、アコレート)は、眠気や抗コリン作用がないので使いやすいが、即効性がなく、ある程度連用しないと効果を発揮しない。

Th2サイトカイン抑制薬(IPD)は、好酸球の増える病態、例えば、好酸球性中耳炎などにも有効。

トロンボキサンA2阻害-PGD2受容体拮抗薬(バイナス)、ロイコトリエン拮抗薬は、鼻汁だけでなく鼻閉にも有効。

第一世代抗ヒスタミン薬は、眠気や抗コリン作用などの副作用に対し、効果が限られており、現在ではもはや使われない。

(第一世代抗ヒスタミン薬について、具体的に商品名を挙げて、これは効く、効かないというお話もあったのですが、ここでは公表を控えておきます。)

点鼻ステロイドは眼症状にも効果がある。
点鼻後数秒間上を向いて、鼻呼吸する。

全身ステロイドを使うときは、セレスタミン1-2錠、あるいは、プレドニンを1-2錠という使い方。セレスタミンは抗ヒスタミン薬を含んでいるため、よく使われる。

アタラックス→ジルテック→ザイザルと進化してきた。

特に鼻閉が強いときには手術療法が選択されることもある。
下鼻甲介切除術:入院要。効果は長期間続く。
レーザーによる粘膜焼勺術:外来で施行可能だが、効果持続は短い。

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posted by 長尾大志 at 11:33 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
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