2011年02月18日

吸入ステロイドの使い分け

連日の研究会で、昨日は上記の内容のご講演を聴いてきました。

講演されたのは、岐阜で開業されている宮川先生。
喘息の業界では、知らない人はいない、著名な先生です。
開業でご多忙にもかかわらず、多くのご研究、データを出されていて、
本当に頭が下がります。

これまでに3,000名の患者さんを診てこられたとのことで、
そのお言葉には重みがあります。
色々と疑問に思っている点が解決し、スッキリしました。

若い先生方の参考と備忘のため、ご講演のポイントを箇条書きで残しておきます。
(括弧)内は私の独り言です。



1978年〜1998年までは、ICS(吸入ステロイド)は
アルデシンとベコタイドしかなかった。
2002年以降、続々と発売されるようになる。

(長い間のご苦労が偲ばれます)


2001年ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)が発売されるが、以後は出ていない。
個人的には、LTRAはほとんど使わない。
患者さんの0.8%!にしか使っていない。

(これはびっくり!私たちは使いすぎ…)


LABA(長期間作用型β刺激薬)が出て以降、
ICS+LABAでほとんどの患者がコントロール可能になったから。
吸入だけで管理できるのなら、投与経路は1つの方が管理しやすい。

(たぶん、薬価の問題もあるのでは。LTRAは高いからなー)


1993年には患者さん1,000人に対しSABAを年間3,500本使っていたが、
今では患者さん1,600〜1,800人に対し、SABAを年間500本しか使っていない。
この数字は、新しい(改良された)ICSが出るごとに減っている。

(ICSの改良の効果を目の当たりにしました)


小児期は喘息罹患率、男女比は6:4なのに、
成人になると4:6と女性が多くなる。

(なんでだろう〜?)


ICSでコントロール不良の場合、アドオンよりまず、
剤形を変えるべき。

アドエアで開始
   ↓
コントロール不良、または、局所副作用
   ↓
キュバール・オルベスコ+セレベントへ。

これでだいたいコントロール可能となる。


合剤のLABAは、動悸、振戦がほとんどない。
3,000人の患者さんで、喘息、心血管に対する有害事象はゼロ。

(たま〜に聞きますが)


DPI(ドライパウダー)製剤は、早く深く吸うべし。
pMDI(霧状の噴霧器)製剤は、ゆっくり深く吸うべし。キュバールとオルベスコはオープンマウス法でよいが、フルタイドとアドエアは、必ずスペーサーを使うこと。

ソバをすすれる人はDPIを吸入できるだけの吸気流速がある。
ソバをすすれないなら、pMDIにすべき。

デュオペーサーやオルベスコ用のスペーサー(無料)は、CFCフロン用であり、現在のpMDI製剤に使われているHFAフロンだと、スペーサーに付着する薬剤が多く、効果が落ちる。
有料のスペーサーをアレルギー学会では推奨している。


キュバール、オルベスコには、無水エタノールが含まれているので、気持ち悪くなる人もいる。


シムビコートが発売されてから、アドエアをシムビコートに替えた患者さんにアンケートを取ると、56%の人はシムビコートがよい、27%の人はアドエアがよい、残りはどちらも同じ、という回答であった。

シムビコートの不評な点として、カウンターが見にくい、長期投与不可(現在は長期投与可能)である点があったが、効果そのものについては満足度が高かった。

(昨日の会の主催がアステラス+アストラゼネカだった、ということを差し引いても、シムビコートの効果はなかなかのものであることは私も実感しています)


成人でPEF(ピークフロー)300以下ではかなり苦しい。320を越えると、かなり楽になる。


肺機能は、横で声をかける人によって、かなりバラツキがあり、自施設ではあまりやっていない。PEFで十分と思う。


ICSだけで、副腎抑制、感染症は問題ないと思っている。肺炎の人にでも、ICSは使っている。全身ステロイドは別の話。

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posted by 長尾大志 at 10:54 | Comment(0) | web喘息講座
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