キーワードは
■繰り返し
■可逆性
で、喘息の特徴というか、定義とも言われています。
具体的な患者さんのセリフとしては、以下のごとくになります。
・以前から風邪の後咳がしばらく続く、ということがしばしばあったけど、自然に治っていた。
・以前から季節の変わり目に咳が出ることが何回かあったけど、自然に治っていた。
・以前から花粉症や鼻炎があり、あまり治療を受けていなかったけど、自然に治っていた。
「〜けど、自然に治っていた。」これが、喘息患者さんの呼吸器内科受診、定期受診を阻む、魔法のキーワードなのです。
特に軽症のうち、発症間もない喘息は、しばしば自然に治るのです(可逆性)。
いかにこのタイミングで介入できるかが勝負なのですよ。
ある調査では、診療所に受診された患者さん、受診理由の最多は「咳」とのこと。
もちろん、経過が2,3日の「急性の咳」は、上気道炎や感冒であることがほとんど。鎮咳薬で事足りることも多いのですが…。
経過が2〜3週間以上の「慢性の咳」はいろいろな病気を含んでいます。
そのうち、レントゲンに異常所見が見られるもので、多いのは、慢性気管支炎(COPD)、肺癌、結核などですが、さまざまな鑑別疾患があります。
レントゲンで所見がない場合、喘息(咳喘息を含む)をはじめ、こちらも多くの鑑別診断があるのですが、放置した場合、治療されなかった場合に、問題になるのは喘息です。
(参考)喘息以外の鑑別疾患
- 副鼻腔気管支症候群・後鼻漏
- 胃・食道逆流症
- 感染後咳嗽・アトピー咳嗽
- 慢性気管支炎
- 百日咳
- 薬剤性咳嗽(ACE阻害薬)
- 心因性・習慣性咳嗽
喘息は、治療開始が早いほど、治癒する可能性もあるのですが、治療が遅れれば遅れるほど、慢性化し、可逆性がなくなっていきます。
ですから、まずは疑う。
疑いのないところに、診断なし。
病歴から、喘息を疑わなければなりません。
上に書いたものを含めて、もう一度喘息を疑わせる病歴を挙げます。
- 長引く(2〜3週間以上)咳
- 過去に繰り返す咳の既往
- 全く症状がない時期(時間帯)の存在
- 夜に多い咳、咳で目覚める、あるいは眠れない
- 発熱はない
- 花粉症や鼻炎などのアレルギー疾患に以前から罹患している
- 喫煙、または、間接喫煙
- 室内犬、猫などのペット飼育
- 労作によって息切れし、咳き込むことがある
- 家族歴
このあたりがいくつか当てはまれば、次のステップは診断です。
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