2011年02月22日

呼吸器内科医がいない病院の若い先生むけ、web喘息講座2・喘息っぽい病歴

私たち呼吸器内科医が、「あ、この人、喘息っぽいな」と思う患者さんには共通点があります。

キーワードは

■繰り返し
■可逆性

で、喘息の特徴というか、定義とも言われています。
具体的な患者さんのセリフとしては、以下のごとくになります。


・以前から風邪の後咳がしばらく続く、ということがしばしばあったけど、自然に治っていた。
・以前から季節の変わり目に咳が出ることが何回かあったけど、自然に治っていた。
・以前から花粉症や鼻炎があり、あまり治療を受けていなかったけど、自然に治っていた。


「〜けど、自然に治っていた。」これが、喘息患者さんの呼吸器内科受診、定期受診を阻む、魔法のキーワードなのです。

特に軽症のうち、発症間もない喘息は、しばしば自然に治るのです(可逆性)。
いかにこのタイミングで介入できるかが勝負なのですよ。


ある調査では、診療所に受診された患者さん、受診理由の最多は「咳」とのこと。

もちろん、経過が2,3日の「急性の咳」は、上気道炎や感冒であることがほとんど。鎮咳薬で事足りることも多いのですが…。


経過が2〜3週間以上の「慢性の咳」はいろいろな病気を含んでいます。

そのうち、レントゲンに異常所見が見られるもので、多いのは、慢性気管支炎(COPD)、肺癌、結核などですが、さまざまな鑑別疾患があります。


レントゲンで所見がない場合、喘息(咳喘息を含む)をはじめ、こちらも多くの鑑別診断があるのですが、放置した場合、治療されなかった場合に、問題になるのは喘息です。


(参考)喘息以外の鑑別疾患

  • 副鼻腔気管支症候群・後鼻漏

  • 胃・食道逆流症

  • 感染後咳嗽・アトピー咳嗽

  • 慢性気管支炎

  • 百日咳

  • 薬剤性咳嗽(ACE阻害薬)

  • 心因性・習慣性咳嗽



喘息は、治療開始が早いほど、治癒する可能性もあるのですが、治療が遅れれば遅れるほど、慢性化し、可逆性がなくなっていきます。

ですから、まずは疑う。
疑いのないところに、診断なし。

病歴から、喘息を疑わなければなりません。
上に書いたものを含めて、もう一度喘息を疑わせる病歴を挙げます。

  • 長引く(2〜3週間以上)咳

  • 過去に繰り返す咳の既往

  • 全く症状がない時期(時間帯)の存在

  • 夜に多い咳、咳で目覚める、あるいは眠れない

  • 発熱はない

  • 花粉症や鼻炎などのアレルギー疾患に以前から罹患している

  • 喫煙、または、間接喫煙

  • 室内犬、猫などのペット飼育

  • 労作によって息切れし、咳き込むことがある

  • 家族歴



このあたりがいくつか当てはまれば、次のステップは診断です。

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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | web喘息講座
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