2011年02月23日

呼吸器内科医がいない病院の若い先生むけ、web喘息講座3・喘息の診断

ここからは、基本的に、喘息予防・管理ガイドライン2009に則って話を進めて参ります。
やはり若い先生方に、ガイドラインを逸脱した話は好ましくない、ましてや不特定多数の方々の目に触れる、web上ではなおさら、と思うからです。


喘息ガイドライン.jpg


ところが、実際の臨床の場では、しばしばガイドラインを逸脱するような出来事が起こるわけです。患者さんもさまざまな方がおられますから、説明の仕方によっては、2度と外来に来られなくなる、ということもあるわけです。

そこで、色々とガイドラインにはない、ある程度普遍的に使えるコツとでもいうべきやり方もあるのですが、それはあくまでオプションということで、直接尋ねていただければと思います。


喘息の診断は、喘息を喘息たらしめている、症状の反復、可逆性の気流制限、他の心肺疾患の除外で臨床的に診断されます。とはいえ、ガイドラインにすら、「定義と同じく診断基準も確立していない」とあり、診断に困ることもしばしばです。

また、大学や専門医療機関で行われているような検査は一般の病院ではほとんど施行できないのが実情です。

例えば気道の好酸球性の炎症を知るために、喀痰中の好酸球をカウントする、生検で好酸球浸潤を見る、呼気中のNOを測定する、あるいは、気道の過敏性、可逆性を直接測定するということなどは、なかなかハードルが高い検査で、仮に検査をできたとしても、解釈がまた難しいのですね。

ですので、一般病院において、喘息の診断は、臨床的に行っているところが多いと思います。シンプルに申しますと、レントゲンなどで他の疾患が除外できたら、あとは気道の可逆性を確認すれば診断可能です。

*他の疾患の除外:特に高齢者の場合、COPDと心不全はなかなか鑑別が困難なこともあります。



気道可逆性試験

これは、要するにβ刺激薬の吸入で症状や検査所見が改善するかどうかを見るものです。

今使える短時間作用型β刺激薬は、
サルタノール、メプチン
ベネトリン(ネブライザー用)
です。

これらを使用して、明らかな症状の改善、肺機能やPEF(ピークフロー)の明らかな(1秒量の12%以上、かつ200ml以上の)改善があれば、有意な可逆性があると判断されます。

なお、β刺激薬の吸入による効果が判然としない場合には、経口ステロイド薬を2〜3週間投与することで可逆性が見いだされることもありますが、少しリスクが高いように思います。

また、PEFを測定できる場合には、早朝の気管支拡張薬使用前のPEF値と、正午から午後2時の間でのβ刺激薬吸入後のPEF値の差が20%以上あるときには、喘息の可能性が高いと考えていい、とされています。

一時、製薬メーカーが提唱?していた、抗ロイコトリエン薬の試験投与、吸入ステロイド単独の投与では効果発現が遅かったり、効果が限定的であったりして、判断に迷うことが少なくないので、勧められません。

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posted by 長尾大志 at 20:03 | Comment(0) | web喘息講座
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