2011年03月07日

web喘息講座15・リリーバー

今回は、リリーバーとして使われる薬の紹介をします。
今後コントローラーの普及に伴い、使用されることが少なくなる(はず)と思われます。


短期作用型気管支拡張薬(β刺激薬)

吸入薬
商品名:サルタノールインヘラー・メプチンエアー・ベロテックエロゾル・ ベネトリン吸入液・メプチン吸入液

以前は「喘息の薬」といえばこれでした。

気管支のまわりには平滑筋という筋肉があり、発作時にはその平滑筋が収縮して気管支(空気の通り道)が狭くなるのです。

β刺激薬は、発作時に起こっている平滑筋の収縮をやわらげる働きがあり、遅くとも吸入して数十分後には効果が現れます。

喘息の発作のときに、一番よく効くのがこの薬です。しかし、一時期これの使いすぎで亡くなられた方が多い、とマスコミなどで話題になりました。

その薬剤はベロテックで、これを使っている方がたくさん「不安だ」と相談しに来られました。亡くなられた方に共通しているのは、以下のようなことです。

■コントローラーを適切に使わず気管支拡張薬だけで喘息に対処しようとしていた。
■短時間に何十回も吸入していた。


もうおわかりですね。いずれもちゃんとした治療・指導を受けていれば避けられたはずなのです。

なお、副作用としては長期作用型気管支拡張薬と同じく、動悸・不整脈・手のふるえ・めまいなどがあります。


内服薬
商品名:ベネトリン・ブリカニール・ベロテックなど

吸入に比べて効果が出るのに時間がかかり、また、副作用も多いことから、今ではあまり使われていません。

吸入薬と同じく、副作用として、動悸・不整脈・手のふるえ・めまいなどがあります。



ステロイド内服薬

商品名:プレドニン・メドロール・デカドロン・リンデロン

ほぼコントローラーと共通です。発作が出たときに数日間〜2週間だけ少し多めの量(3〜6錠)を内服します。作用はβ刺激薬ほど早くありませんが、使い方が定期的ではなく発作時なのでこちらで説明しました。

薬の説明としてはコントローラーのところで書いたとおりですが、このような短期間の使い方では後々問題になる副作用はほとんどないのが特徴です。


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posted by 長尾大志 at 10:20 | Comment(2) | web喘息講座
この記事へのコメント
大変わかりやすいブログでいつも参考にさせていただいております。気管支喘息の急性発作〜維持期に関しての質問ですが、急性発作の治療から長期管理に移行する時、ステロイドの全身投与とICSは併用しながら、ステロイドの全身投与を中止するのでしょうか。それともステロイドの全身投与からいきなりICSに切り替えてもいいのでしょうか。ご教授ください。
Posted by 研修医2年目 at 2015年05月21日 01:39
研修医の先生のご質問ですから、発作時に入院で管理しているという場面で説明します。
もちろんこれまでにICSをずっと使っているという症例では、ICSを継続しますが、これまでにICSを使われていない場合(発作で入院するようなケースではしばしばありがちですが…)、まずは吸入の必要性、手技の指導を行う必要があります。
実際にやってもらってそれを確認、ということを何回か行うことを考えると、全身ステロイド投与中からICSを開始する方が良いということがおわかり頂けるかと思います。ICSの効果発現がそれほどすぐではない点からも、早く始める方がいいでしょう。
Posted by 長尾 大志 at 2015年05月22日 19:22
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