しかし、喘息になりやすいリスク因子はある程度わかっていますから、そこに患者さんがどの程度当てはまるかで、ある程度お答えすることはできるでしょう。
リスクとして大きい要因としては、以下のものを挙げておくといいでしょう。
- 遺伝素因がある
- アレルゲンに繰り返し曝露する・他のアレルギー疾患がある
- 衛生仮説
遺伝素因がある
喘息はじめ、アレルギー疾患は、遺伝的素因+環境因子によって発病すると考えられています。
アレルギー体質を持っている人でもアレルギーの病気を発症しない人もいます。
しかし、アレルギー体質が全くない人はアレルギーの病気にはならないでしょう。
遺伝的素因も、単一の遺伝子に起因するものではなく、多因子であろうと考えられています。ということは、必ず遺伝するものではないが、遺伝する可能性がある程度高い、ということです。
いくつかの研究データをあげてみます。
■喘息が発症する要因の75%が遺伝といわれている
■両親が喘息の時、喘息になる確率は3-5倍高くなる
■一卵性双生児の1人が喘息の時、もう1人が喘息になる確率は7倍高くなる
ここで注目すべきことは、一卵性双生児の両方が、100%同じように喘息になるわけではないということです。つまり、遺伝の要素はもちろんあるのですが、遺伝ばかりでもないということです。
アレルゲンに繰り返し曝露する・他のアレルギー疾患がある
以前からずっと鼻炎があった、こういう人が喘息を発症することが少なくありません。
コントロールされていないアレルギー疾患の存在はリスクになります。
また、アレルゲンへの曝露は、何度も繰り返すほど反応が大きくなります。
例えば花粉症でも、毎年花粉を浴び続けるとある年突然発症する。
喘息の場合ですと、大きな要因はハウスダスト、ダニです。
住宅の気密性、断熱性が増し、エアコンもあって1年中温度が一定に保たれていると、ダニの温床になります。ずっとそういう空気を吸い続けることが発症の要因になると思われます。
衛生仮説
細菌・真菌・LPS(菌体成分)などが多い不衛生な環境では、Th1系の活性化が起こり、Th2系が抑制されます。
逆に非常に衛生的な環境では、Th1の活性化が起こりにくく、Th2系優位となる。
このTh2系はアレルギー反応に深く関わっているのです。
ですから、特に免疫系が形成される幼少期に、過度に清潔な環境にいることは、アレルギー発症の引き金になるというのが、衛生仮説です。最近アレルギー疾患が増えていることをよく説明する説ではないかと思います。
これら以外に、リスクとなる生活習慣も色々あります。
それについては明日まとめて述べることにします。
web喘息講座を最初から読む