2011年03月24日

間質性肺疾患6・NSIP : nonspecific interstitial pneumonia(非特異性間質性肺炎)

NSIP : nonspecific interstitial pneumoniaは、1994年Katzensteinにより提唱された、間質性肺炎で最も新しい疾患概念です。


提唱された当初は、これまでに分類されていた間質性肺炎の、どのタイプにも当てはまらない病理パターンがあるな〜、という感じで、今までになかったやつ、という意味で“nonspecific=非特異性”なんちゅう名前がついてしまったのですね。


気軽に、「じゃあこれもnonspecificで、これも、これも」と、症例を集積していったら、修正されるタイミングのないまま今に至ってしまった、ある意味かわいそうな?疾患群です。


で、意外に、似たような病理組織をパターン分類してまとめてみると、症例数も結構多かったりして。
名前からして多そうなIPF=UIP(通常型間質性肺炎)に次いで多くみられます。



臨床的な特徴
亜急性の発症で徐々に進行します。IPFの「慢性」は、月〜年単位、「亜急性」は週〜月単位の変化を表します。

細胞型と線維化型があり、細胞型の予後はCOPとほぼ同等、つまり、結構よいです。
線維化型の予後は細胞型より悪いが、IPFよりはよく、ステロイド治療の甲斐があることが多いです。


HRCT(高分解CT)では蜂巣肺形成は少なく、すりガラス影や網状影主体です。分布はIPFと同じく、肺底部と胸膜直下優位となります。典型的には、気管支と血管の走行に沿って陰影が分布します。

NSIP: nonspecific interstitial pneumonia(非特異性間質性肺炎)の病理組織型もNSIP : nonspecific interstitial pneumonia(非特異性間質性肺炎)です。NSIPの病理組織を持ち、原因のない(わからない)特発性間質性肺炎をNSIPと呼ぶわけです。


病理学的には、比較的均一に肺胞壁が肥厚(細胞浸潤/線維化による)し、本来の肺組織構造は比較的保たれているのが特徴で、そのために病変に比較的可逆性が見られるわけです。


NSIPの病理組織パターンは、膠原病肺・薬剤・感染・過敏性肺臓炎で多く見られます。

特に膠原病の場合には、肺病変先行型であったりすると、当初特発性と考えていたが、あとからリウマチが発症したとか、結構ありがちで、特発性の診断には慎重であるべきです


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posted by 長尾大志 at 11:55 | Comment(2) | 間質性肺疾患シリーズ
この記事へのコメント
特発性肺線維症急性増悪で入院中の家族のことでご相談があります。
一時期は酸素療法10Lでも安静時呼吸困難感があり、もう数日といわれていましたが、ステロイド療法にてかなり症状は改善し、現在は酸素療法3Lで安静時呼吸困難感があい状態です。労作時は立位歩行となると、
呼吸困難は出現します。
NSIPである可能性はあるでしょうか。NSIPの場合は治療方針はまた違ってくるのでしょうか。よろしくお願いします。
Posted by KK at 2012年02月18日 22:37
確かにネット上では、このぐらいの情報のご質問に対して、お答えされている方もおられますが…。
これだけの情報で、責任をもってご回答することは難しいように思います。また、その答えを不特定多数の方がご覧になることで、同じような症状のほかの患者さんに誤解を招く恐れもあります。
検査結果、画像を含めたすべての情報をお持ちいただき、当院のセカンドオピニオン外来を受診いただければと思います。
Posted by 長尾 at 2012年02月19日 00:30
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