NSIP : nonspecific interstitial pneumoniaは、1994年Katzensteinにより提唱された、間質性肺炎で最も新しい疾患概念です。
提唱された当初は、これまでに分類されていた間質性肺炎の、どのタイプにも当てはまらない病理パターンがあるな〜、という感じで、今までになかったやつ、という意味で“nonspecific=非特異性”なんちゅう名前がついてしまったのですね。
気軽に、「じゃあこれもnonspecificで、これも、これも」と、症例を集積していったら、修正されるタイミングのないまま今に至ってしまった、ある意味かわいそうな?疾患群です。
で、意外に、似たような病理組織をパターン分類してまとめてみると、症例数も結構多かったりして。
名前からして多そうなIPF=UIP(通常型間質性肺炎)に次いで多くみられます。
臨床的な特徴
亜急性の発症で徐々に進行します。IPFの「慢性」は、月〜年単位、「亜急性」は週〜月単位の変化を表します。
細胞型と線維化型があり、細胞型の予後はCOPとほぼ同等、つまり、結構よいです。
線維化型の予後は細胞型より悪いが、IPFよりはよく、ステロイド治療の甲斐があることが多いです。
HRCT(高分解CT)では蜂巣肺形成は少なく、すりガラス影や網状影主体です。分布はIPFと同じく、肺底部と胸膜直下優位となります。典型的には、気管支と血管の走行に沿って陰影が分布します。
NSIP: nonspecific interstitial pneumonia(非特異性間質性肺炎)の病理組織型もNSIP : nonspecific interstitial pneumonia(非特異性間質性肺炎)です。NSIPの病理組織を持ち、原因のない(わからない)特発性間質性肺炎をNSIPと呼ぶわけです。
病理学的には、比較的均一に肺胞壁が肥厚(細胞浸潤/線維化による)し、本来の肺組織構造は比較的保たれているのが特徴で、そのために病変に比較的可逆性が見られるわけです。
NSIPの病理組織パターンは、膠原病肺・薬剤・感染・過敏性肺臓炎で多く見られます。
特に膠原病の場合には、肺病変先行型であったりすると、当初特発性と考えていたが、あとからリウマチが発症したとか、結構ありがちで、特発性の診断には慎重であるべきです。
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2011年03月24日
間質性肺疾患6・NSIP : nonspecific interstitial pneumonia(非特異性間質性肺炎)
posted by 長尾大志 at 11:55
| Comment(2)
| 間質性肺疾患シリーズ
一時期は酸素療法10Lでも安静時呼吸困難感があり、もう数日といわれていましたが、ステロイド療法にてかなり症状は改善し、現在は酸素療法3Lで安静時呼吸困難感があい状態です。労作時は立位歩行となると、
呼吸困難は出現します。
NSIPである可能性はあるでしょうか。NSIPの場合は治療方針はまた違ってくるのでしょうか。よろしくお願いします。
これだけの情報で、責任をもってご回答することは難しいように思います。また、その答えを不特定多数の方がご覧になることで、同じような症状のほかの患者さんに誤解を招く恐れもあります。
検査結果、画像を含めたすべての情報をお持ちいただき、当院のセカンドオピニオン外来を受診いただければと思います。