2011年04月02日

薬剤性肺障害 実例さらに1例

込み入った経過なので、かいつまんで紹介します。

(経過ここから)
躁鬱病に対してラモトリギンの内服を開始してからの皮疹が出現し、その後、クエチアピン・炭酸リチウム・バルプロ酸ナトリウムの定期内服を開始したところ、38℃台の発熱を認め、同時に皮疹が増悪した。
ラモトリギンを中止し、アセトアミノフェンを内服し経過をみたが解熱しなかった。咳嗽と呼吸困難が出現し、39℃以上の発熱が生じたため受診したところ、好酸球増多(15%)を認めた。数日で労作時の咳嗽が増悪し、呼吸困難も悪化した。
その後40℃の発熱を認めて初めて当院を受診し、胸部CTで両側びまん性のスリガラス影を認めたため入院となった。ここまでの経過は約3週間。
(経過ここまで)


こんな陰影です。


016CR.jpg


CTはこんな感じ。


016CT1.jpg


016CT3.jpg


016CT4.jpg


特発性間質性肺炎との違いは、陰影の分布(場所)です。胸膜直下に病変が少ないのは、特発性間質性肺炎ではあまり見られないことです。


診断は薬剤性好酸球性肺炎でした。

一部DIHS(dug-induced hypersensitivity syndrome)様でもあり、関連薬剤の可能な限りの中止と、ステロイド治療で軽快しました。

治療日の胸部レントゲン。


022CR.jpg


翌日にはぐっと軽快。熱もその日には下がり、呼吸器症状も軽快しています。


023CR.jpg


10日後。ほぼ治りました。


103CR.jpg


DIHS:厚労省HPより→
http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm0706001.pdf


こういう疾患は、総合内科医としての実力が問われますね。


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posted by 長尾大志 at 14:23 | Comment(0) | 間質性肺疾患シリーズ
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