気胸症例を診たときに、まずは虚脱率の計算を勧めている本がたくさんあります。
で、その率が何%だったらドレナージ、という感じです。
この計算方法もいくつかやり方がありますから、成書をご覧下さい。
米国の学会によるコンセンサスでは、かなりシンプルに、以下のようになっています。
原発性気胸:立位で撮った胸部レントゲン写真で、虚脱した肺が肺尖部から3cmあれば穿刺あるいはドレナージの適応
続発性気胸:わずかであってもドレナージの適応
続発性気胸というのは、何らかの原因(外傷とか、医源性とか)があって起こったものなので、すぐにドレナージが必要、ということでよいと思います。
以後は、原発性気胸について考えます。
気胸を診たときに困るのは、「穴は閉じているのか、開いたままなのかわからない」ということです。
開いたままだったら,肺は今後どんどん虚脱するので、ドレナージが必要。穴が閉じていれば、その後ふくらむであろう、ということです。
ただ、穴が閉じれば肺がふくらんでくるのは確かなのですが、肺がふくらむためには肺の外に存在する空気が(胸膜から)吸収される必要があります。そのスピードは結構ゆっくりで、胸郭の15%分の空気を吸収するのに、12日程度かかるといわれています。
ですから、「穴が閉じていて、胸郭の15%ぐらいの虚脱率であれば、経過観察でも許容範囲」と言えるわけです。その際、高濃度の酸素投与をすると、吸収が促進されることが知られています。
しかし、経過を追っているならともかく、今受診した人が胸部レントゲン写真を撮って、気胸であることが初めてわかった場合、穴が開いているか、閉じているかはわかりません。
そこで、経過を含めた総合的な考え方が必要となります。
気胸・胸水・ドレナージを最初から読む
2011年04月10日
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