2011年04月22日

呼吸音・ラ音について・断続性ラ音

断続性ラ音:粗雑な→coarse crackles「ブツブツ」
     :細かい→fine crackles「パリパリ」「パチパチ」

でした。

この2つは、連続性の時のように、同じ範疇のもの、と思われがちなのですが、実は、全く違うものなのです。


coarseの方は、別名「水泡音」ともいわれ、気道内の分泌物がブルブル震えるときに出る音といわれています。呼気時主体ともいわれますが、吸気時に聞こえても不思議はありません。

痰なんかだったら、咳をしてもらって、それで変化することもあるので、参考になります。


それに対して、fineの方は、別名「捻発音」「ベルクロラ音」などと呼ばれるもので、(特に線維化のある)間質性肺炎の時に、しなやかさが失われた肺胞が、ふくらむときにバチンと鳴る音が集合して聞こえるものです。ですから、線維化が生じやすい肺底部、背側でよく聞こえますし、基本、吸気時の終わりの方でのみ聞こえるはずです。


音色そのものの違いもさることながら、呼吸相のどこで聞こえるか、あるいは聴取の場所はどこか、というところが鑑別のミソとなるのです。

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posted by 長尾大志 at 09:13 | Comment(3) | 呼吸器疾患診断手順ガイド
この記事へのコメント
とても分かりやすい説明でいつも助かっております。
質問です。
何故肺底部は繊維化しやすいのでしょうか?
Posted by 関東の医学生です。 at 2014年01月13日 20:36
ご質問ありがとうございます。いや実はこれ、この業界の人ならみんな疑問に思っているのですが、誰も理由を知らない、「呼吸器の7不思議」の一つなのです。
いろいろと「説」はあったりします。もっともよく動くところだけに、動的ストレスがかかるとか…ただ、肺線維症のメカニズム自体がイマイチ明らかでないので、なんとも難しいようです。
出来ましたら是非将来は呼吸器科を専攻され、この謎を解明して下さい。
Posted by 長尾 大志 at 2014年01月14日 23:36
断続性ラ音の表記法について、記事および書籍版での表現はちょっとそぐわないので、書き直しました。今の記事の表現でご理解ください。
書籍版をお持ちの方におかれましては、申し訳ございませんが訂正をお願いしたいと思います。
Posted by 長尾 大志 at 2014年01月15日 19:21
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