2011年04月28日

気管支鏡・BAL/TBLB2・用語と定義・気管支洗浄と気管支肺胞洗浄(BAL)

このブログでも何度か取り上げていますが、私は、用語を正確に使うのが好きです。用語にはきちんとした意味がありますから、その意味を知っていれば、間違えるはずはないのですね。

逆に言うと、用語を正確に使えない人は、正しく意味をご存じないのだ、と考えています。



気管支鏡関係で、間違えやすい、というか、混同されやすい用語はまず気管支洗浄、BAL(気管支肺胞洗浄 bronchoalveolar lavage)です。結構気軽に間違えて使われる人が多いんです。



気管支洗浄:少量(20ml程度)の生理食塩水を、気管支鏡を通じて気管支内に注入し、陰圧をかけて吸引、回収します。その程度の量であると洗浄した液は気管支内にとどまり、肺胞成分は回収できませんが、陰影のある部位の病原体検出や細胞診は可能です。

すなわち、気管支部分を洗浄することになるのです。



BAL(気管支肺胞洗浄 bronchoalveolar lavage):大量(50ml×3回が標準的)の生理食塩水を、気管支鏡を通じて気管支内に注入し、肺の末梢(肺胞領域)まで行き渡らせた上で、愛護的に吸引、回収します。

愛護的に、ということは、陰圧をかけて吸引する際に、壁からの吸引でなく、シリンジを用いて手で陰圧をかけ、優しく優しく吸引する、ということです。


壁から高い圧で吸引すると、気管支粘膜から出血してしまい、折角の回収液に末梢血が混入してしまいます(あくまでBALは、肺胞内にどのような細胞がいるのか、余計な病原体はいないか、を見るための検査。末梢血の状態が見たければ、血液をそのまま抜いて調べればよいわけで)。
あるいは、高い圧の吸引ですと、気管支がcollapseしてしまう(圧力でぺちゃんこになる)ため、回収が不十分になります。


しっかり気管支内を麻酔し、咳を極力少なくして、気管支鏡の先端を確実に気管支にはめ込み(wedgeする、といいます)、優しく操作しますと、目の細か〜い泡がしゅーっと出てきます。この泡が出るということは、肺胞内の空気が食塩水に置換されていることを意味し、例の「細かい泡はナントカの命」という名言を生んだのです。


BAL液を分析することで、肺胞内の病原体検出、肺胞内の細胞分画、肺胞出血の有無などを調べることができます。びまん性肺疾患の診断に使われることが多いので、必ずしも陰影の濃い部分で施行する必要はないはずです。
というのも、「びまん性」肺疾患は、肺のどこでも(びまん性に)同じこと(リンパ球浸潤など)が起こっているはずなんですね。

とはいえ、感染症が強く疑われるときには陰影の濃い部分で施行することもあります。



…とまあ、BALについて語り出すと、少々熱くなってしまいますのでご容赦下さい。

間違っても、気管支洗浄しかしていないのに、「BALしました」なんて言わないようにしましょうね。


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posted by 長尾大志 at 10:28 | Comment(0) | 気管支鏡・BAL/TBLB
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