咳喘息
感染後咳嗽
アトピー咳嗽
後鼻漏
百日咳
胃・食道逆流症
心因性・習慣性咳嗽
薬剤性
慢性気管支炎
気管・気管支の腫瘍
気管・気管支結核
次のアプローチは、以下のような観点から進めていく必要があります。
感染症かどうか?
悪性疾患かどうか?
アレルギーかどうか?
薬剤性かどうか?
胃・食道逆流があるか?
残念ながら、これらの鑑別は病因が全く異なるわけですから、治療薬も全く異なることになり、正しく鑑別を行わないと、見当違いの(効かない)治療をダラダラ続けることになります。
前回書いたように、このうち、多い(多くなっている)のは、咳喘息や後鼻漏といったアレルギー性疾患です。
アレルギーは本当に増えていますね。アレルギー性鼻炎は人口の3-40%、喘息は10%とも言われています。まさに国民病といっても過言ではありません。理由としては喘息と診断されたあとの、患者さんの疑問・質問1・どうして私は喘息になったのですか?でも触れていますが、環境面や生活習慣面など、さまざまな要因があるようです。
そして、ここからが大事なことなのですが、特に喘息においては、 web喘息講座7・吸入ステロイドを早めに使い始める方が、喘息の進行が抑えられるので、喘息が治る可能性もあり、結局使う薬が少なくてすむででも触れたように、ステロイドは早期に治療開始した方が、治る可能性が高く、軽症であっても、吸入ステロイドの開始が遅れると慢性化、リモデリングが進行するということなのです。
ですから、胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳を診たときに、喘息であるかどうかの評価は、その患者さんの人生を左右する、大変重要なものである、ということを意識していただきたいところです。
咳喘息の診断のコツは、以前にも書きましたが、まずは「疑うこと」が重要です。
私たち呼吸器内科医が、「あ、この人、喘息っぽいな」と思う患者さんには共通点があります。以下のような病歴があれば、積極的に疑いましょう。
- 長引く(2〜3週間以上)咳
- 過去に繰り返す咳の既往
- 全く症状がない時期(時間帯)の存在
- 夜に多い咳、咳で目覚める、あるいは眠れない
- 発熱はない
- 花粉症や鼻炎などのアレルギー疾患に以前から罹患している
- 喫煙、または、間接喫煙
- 室内犬、猫などのペット飼育
- 労作によって息切れし、咳き込むことがある
- 家族歴
このあたりがいくつか当てはまれば、次のステップは診断です。web喘息講座3・喘息の診断でも取り上げた通り、β刺激薬の吸入で症状や検査所見が改善するかどうかを見る、気道可逆性試験を行って診断します。
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