2011年05月18日

咳の鑑別9・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳・後鼻漏

後鼻漏というのはあくまで、事象を表す言葉です。
「のどに何か常に絡んだような感じがある」という訴えが典型的ですね。


その原因疾患としては、アレルギー性鼻炎(花粉症)が多いのですが、副鼻腔炎やその他の鼻炎も含まれます。


これも、診断に至らずなかなか解決しないことが多くて、お困りの患者さんが多いように思います。


普通の鼻水(鼻汁)は「前鼻漏」ですが、これが咽頭側に落ちていくと、咽頭や気管の咳受容体を刺激し、主に湿性の(痰を伴う)咳が続くのです。


診断は直接咽頭を観察したり、後鼻鏡を用いて、咽頭に鼻からの分泌液が流れ込んでいる様子を観察することで診断できます。


治療は原因疾患によりますが、アレルギー性鼻炎であれば抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイドを用います。感染性の副鼻腔炎には抗生物質を使いますが、慢性の場合はマクロライド系薬をある程度の期間使われることもあるようです。


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posted by 長尾大志 at 16:59 | Comment(2) | 咳の鑑別
この記事へのコメント
大変コンパクトにまとまったブログありがとうございます。
改めて勉強させていただきました。

ところで、、PNDS:後鼻漏ですが、

最近
 SBS:副鼻腔気管支症候群
http://netconf.eisai.co.jp/cough/c_spe.htm
と表記されるようになったようです。
ご確認下さい。
Posted by ひでりん at 2011年09月11日 22:21
リンク先を見ていただくとおわかりのように、慢性咳嗽、特に湿性咳嗽の鑑別で、副鼻腔気管支症候群と後鼻漏は代表的なものです。

特に副鼻腔炎による後鼻漏の場合、しばしば鑑別が困難なことがありますが、表記が変わったわけではありません。リンク先の「診断基準」をご覧下さい。
Posted by 長尾 at 2011年09月12日 12:39
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